PRESIDENT Online 掲載

川勝平太前知事が妨害し続けてきた静岡工区のリニア工事について、一条の光が差し込んだ。ジャーナリストの小林一哉さんは「約2年間泥沼にはまっていた『山梨県境のボーリング調査』を鈴木康友新知事があっさりと承認した。『川勝色』は一掃されつつある」という――。

■「調査ボーリング問題」があっさり解決

新たな静岡県政の最高責任者に就いた鈴木康友知事が、早速リニア問題の解決に向けて大きく舵を切った。

川勝平太前知事が約2年にわたって粘着していた「山梨県内の調査ボーリング」の言いがかりを退けたからだ。

川勝氏は2022年以降、「水一滴も県外流出は許可できない」として、「静岡県の水を一滴でも引っ張る山梨県内の調査ボーリングをやめろ」を主張し続けた。

ところが、鈴木知事は「山梨県内の調査ボーリング」だけでなく、調査ボーリング以上に大量の湧水流出が懸念される先進坑、本坑掘削工事でも、「『静岡県の水』という所有権を主張せず、『静岡県の水』の返還を求めないこと」にあっさりと合意したのだ。

リニア工事では、ボーリング調査を経て、「先進坑」と呼ばれる一回り小さなトンネルを掘り、その後リニアが通る「本坑」を通す。

後述するが、元をたどれば「調査ボーリングをやめろ」の主張の発端は「先進坑掘削をどこで止めるか」だった。

問題の発端となった先進坑の掘削工事にまで踏み込んだ合意で、これまでの無理難題を持ち出した“川勝色”は一掃され、水資源保全の問題は解決に向けて大きく前進した。