6月から所得税と住民税合わせて4万円の定額減税が実施されます。 1人あたり4万円分の税金が差し引かれる制度ですが、この制度を巡っていまあちこちで混乱が起きています。 5月22日放送『CBCラジオ #プラス!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が、あらためて定額減税の内容となぜ今、この制度が実施されるのかについて解説しました。

     

いつどれだけ減税される?

会社員の場合、毎月所得税と住民税が天引きされていますが、これを1年かけて1人あたり4万円差し引くのが今回の定額減税の制度です。
例えば配偶者にこどもが1人という3人家族なら12万円が差し引きされ、それだけ手取りの給料が増えるというわけです。

定額減税は給与収入2,000万円以下の納税者と扶養家族が対象となります。

所得税は1人あたり3万円が減税となりますが、会社員は勤務先から受け取る給与や賞与から源泉徴収される所得税に対して、6月から順次差し引かれます。

住民税は1人あたり1万円が減税となりますが、6月分は住民税は全員が徴収額が0円。

7月から来年5月までの11か月は、住民税の年間額から1人あたり1万円を差し引いて11等分した額を徴収するとのことです。

なお所得が少ないために所得税や住民税が少なく、1年かけても引ききれない場合、残りは現金給付されるとのこと。

それなら最初から1人4万円ずつ現金給付すればいいんじゃないかと思いそうですが、これには思惑があるようです。

給与明細への記載義務化で大混乱

この定額減税について、いま問題となっているのが、政府は企業に対して給与明細に所得税減税額を記載することを義務づける方針を決めたこと。

給与明細に例えば「定額減税〇〇円」と記載しておくと、給与明細を受け取った側は「定額減税で税金が安くなった、今月は取られなくて済んだ」と実感できるわけです。

一方で給与明細に載せるとなると、企業や自治体の担当者は事務作業が増えて大変になり、SNSでも怒りの声が上がっています。

ではなぜ、わざわざ給与明細に減税額を書かせるのか、これには「内閣支持率や自民党の支持率をアップさせたいからではないか」と見る向きがあります。

減税の効果はあるのか

石塚「増税メガネなんて言われる総理大臣だったりするから。景気が良くなれば税収も上がるんですよということも売り物にしてる。

そうすると、『政府や国や自治体がお金を持っていくだけですか』という我々(の意見)に対する答えとして、岸田さんなんかは『還元する分はみなさんに還元するよ』と言ったわけですから」

衆議院議員選挙は1番遅くても2025年10月、参議院選挙は2025年7月にありますので、あと1年ちょっと。

石塚「ここで支持率アップにつながるといいな、ということがないわけではないということでしょうね」

1998年(平成10年)に橋本内閣の時に定額減税、翌年の小渕内閣の時には定率減税が行われましたので、実に25年ぶりとなる大型減税。

経済への効果があるのか、支持率アップの効果はあるのか、注目したいところです。
(岡本)