中国・上海市で、男性が酒に酔ってタクシーに乗ったところ知らぬ間に2886元(約6万円)を払わされていたという事件があった。中国メディアの上観新聞が27日付で伝えた。

報道によると、地元警察に先日、「酔ってタクシーを利用したら微信支付(ウィーチャットペイ)で2886元を払わされた。運転手が怪しい」との通報があった。通報した黄(ホアン)さんによると、2月28日午前2時半ごろ、上海市黄浦区の路上からホテルまでおよそ2キロの距離をタクシーで移動した際に事件が起きた。

黄さんは当時、ひどく酒に酔っており、運転手に言われるまま携帯電話のパスワードを教えてしまったといい、酔いから覚めた後にウィーチャットペイで3回(999元が2回、888元が1回)に分けて計2886元を払わされていたことに気付いたという。


警察は監視カメラの映像などからタクシー運転手の紀(ジー)容疑者を特定した。紀容疑者は当初、不正に支払わせたことを認めず、「これは黄さんが自発的に払ったチップだ」と主張。「証拠」として現場で撮影した動画を見せてきた。しかし、動画では、泥酔してフラフラの黄さんに対して紀容疑者が一方的に「兄ちゃん、『チップ』ありがとうな」と言う様子しか映っておらず、警察は黄さんの同意はなかったと判断した。

また、警察の調べで、紀容疑者は黄さんを一度路上に降ろしてタクシーでその場を離れ、その後戻ってきて「証拠動画」を撮影した上で、ホテルまで送り届けていたことが分かった。黄さんが路上に放置されていた間に黄さんと接触した人はおらず、黄さん自身も携帯電話を操作していなかったことも判明した。

紀容疑者はその後容疑を認め、「ナビを利用するという名目で(黄さんの)携帯電話を受け取り、ロック解除のパスワードを聞き出した。支払い用のパスワードも同じなのではと思い(支払いを)試したところ成功した。後でクレームを付けられないように動画を撮影した」と供述した。(翻訳・編集/北田)