台湾メディアの中時新聞網は15日、中国の自動車メーカーについて「電気自動車(EV)輸出による貿易摩擦を回避するため、海外で工場建設を進めている」と報じた。

記事によると、中国のEV輸出急増を受け、一部の国が不当競争を理由に中国製EVの輸入制限を検討する中、中国の自動車メーカーは、海外で工場建設を進めている。ロイター通信は、中国の奇瑞汽車(Chery)がこのほど、イタリアでの完成車工場の建設に向けて同国政府と協議を行っていると報じた。

米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は1月、中国の自動車メーカーを「最も競争力がある」と評価した上で、「どのような関税、貿易障壁が設けられるかにもよるが、中国以外でも大きな成功を収めるだろう」とし、「貿易障壁がなければ、世界の同業のほとんどを打ち負かすだろう。彼らは非常に優秀だ」と述べた。

記事はまた、米ボイス・オブ・アメリカの報道を引用し、「米国が中国のEVによる米国市場席巻を防ぐための措置を講じる中、中国の自動車メーカーは、工場を海外に移転または建設する戦略を計画し、実行し始めている」と指摘。中国EV最大手の比亜迪(BYD)がタイ、ブラジル、ハンガリー、ウズベキスタンに組立ラインを建設中で、さらにメキシコで工場用地を調査していること、奇瑞は2014年にブラジルに工場を設立し、アルゼンチンと英国にも工場を設立すると発表していること、上海汽車(SAIC)がタイ、インドネシア、インドに工場を有していること、長城汽車(Great Wall)がタイの工場で年8万台製造していること、ボルボとロータスを傘下に持つ吉利汽車(GEELY)がベラルーシ、英国、インドネシアに工場を有していることを伝えた。(翻訳・編集/柳川)