外資系企業は中国からの「デリスク(リスク低減)」を模索し、中国政府は海外技術からの段階的脱却を進めている。ロイター通信は両者の関係を「タンゴ」に例え、「タンゴを踊るには2人必要かもしれない。しかし、雑音や雑念が多ければ多いほど、踊り手がつまずく可能性は高くなる」と報じた。

ロイター通信によると、24、25日に北京で開かれた「中国発展ハイレベルフォーラム」には米アップルや米半導体企業アドバンスト・マイクロ・デバイセス(AMD)など多国籍企業100社前後の最高経営責任者(CEO)が出席。ダンスパートナーであふれかえった。

中国による世界貿易機関(WTO)加盟直前の2000年に発足した同フォーラムは繁栄の共有に向けた世界との連携を掲げている。李強首相は今年の開幕に当たり、外国人投資家を誘致し、あらゆる国の企業を歓迎する姿勢を強調した。

しかし、不安定な景気回復と地政学的緊張の高まりが中国にとって大きな打撃となっている。22日に発表された公式統計によると、海外からの直接投資(FDI)は今年1、2月に前年比2割減少し悪化した。

とはいえ、グローバル大企業が世界第2位の経済大国に背を向ける準備ができているわけではない。アップルのティム・クックCEOは自社にとって中国ほど重要なサプライチェーン(供給網)はないと明言。実際、このiPhoneメーカーは生産契約の一部を他国にシフトしているが、主要サプライヤー200社のうち75%以上が依然として中国での生産を維持している。

中国指導部も西側のビジネスエリートたちと直接交流することに熱心なようだ。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、クック氏や世界最大級のメガバンクHSBCのノエル・クインCEOらが習近平国家主席と食事を共にする予定だ。

その一方でダンスフロアには危険も増えている。米国政府は最先端半導体を中国が手にするのを阻止する取り組みなどを先導。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は24日、AMDと米半導体大手インテルのマイクロプロセッサーが中国政府のコンピューターやサーバーから段階的に排除されていると伝えた。

中国も政府使用のパソコン(PC)とサーバーからインテル、AMD両社のCPU(中央処理装置)を段階的に排除することを定めたIT機器調達指針を導入した。

こうしたことから、ロイター通信は「両者の異なる動きで『タンゴ』はかみ合わないものとなるかもしれない」と指摘。先行きを疑問視した。(編集/日向)