2024年4月30日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、米電気自動車大手テスラのイーロン・マスクCEOがインド訪問をキャンセルして訪中したことに、インド国内で衝撃が走ったと報じた。

記事は、マスク氏が28日に中国を訪問して李強(リー・チアン)首相と会談し、中国市場での先進的な運転補助システム発売などで譲歩や進展を勝ち取ったとする一方「マスク氏は先週インドのモディ首相と会談し、インドの自動車工場に30億ドルを投資することを発表する予定だったが『テスラの重大な任務がある』としてキャンセルしていた」と紹介。マスク氏が20日に「今年の遅い時期にインドを訪れることを楽しみにしている」と書き込んでいたことを伝えるとともに、インド政府はマスク氏の訪問中止や訪中に関するコメントを出していないとした。

その上で、マスク氏がインド訪問をキャンセルした上で訪中したことはインド側に冷水を浴びせる結果になり、インドのある評論家からは「マスク氏のインドに対する怠慢だ」との批判が出たと紹介した。また、日頃より中国に対し強硬的な立場を取るインドメディアも「低劣なモラルか、それともこれがビジネスの原則なのか」「全てのインド人が衝撃を覚えた」「こんにちは中国、さようならインド」といった見出しや言論でマスク氏の行動に対する攻撃を展開したと伝えている。

記事は、マスク氏訪中に対するインド国内の強い反発について、中国とインドの競争が日々激しくなっていることの現れと指摘。また、幻となったマスク氏のインド訪問はモディ首相にとっては3選実現を後押しする大きなトピックとなるはずだったとした上で、最大野党であるインド国民会議のシャーマ・モハメド広報がSNSで「モディ政権の監督管理政策に対する信頼の欠如が、大企業をインドではなく中国に向かせた」と批判したことを紹介した。(翻訳・編集/川尻)