Suban Abdulla

[ロンドン 28日 ロイター] - 英経済が昨年後半に浅い景気後退(リセッション)に入ったことが確認された。

国立統計局(ONS)が28日発表した2023年第4・四半期の国内総生産(GDP)確報値は前期比0.3%減。速報値から修正はなかった。第3・四半期は0.1%減だった。

年内に予想される総選挙を控えたスナク政権にとっては、失望を招く統計となった。世論調査で大きくリードする野党・労働党は「リシ(・スナク首相)の景気後退」と批判している。

EYアイテム・クラブのチーフ経済アドバイザー、マーティン・ベック氏は「24年のGDPが低い地点からのスタートになったことは、暦年の成長率が1%未満にとどまる可能性が高いことを意味する」と指摘した。

「しかし今年勢いが加速する可能性も依然として残っている」とも述べた。

英経済は今年に入り回復の兆しが出ており、1月のGDPは前月比0.2%増だった。民間調査では2月と3月もプラス成長が続いたことが示唆されている。

利下げ期待とハント財務相が発表した減税が今年の英経済を下支えするとみられる。

ただ、新型コロナウイルス流行の影響からの回復は遅れており、GDPは19年終盤の水準から1%しか増加していない。

23年通年の成長率は0.1%と、新型コロナの流行がピークだった20年を除くと09年以来の低水準となった。

1人当たりGDPは第4・四半期は0.6%減、23年全体では0.7%減だった。22年初め以降伸びていない。

統計発表後のポンドは対ドル、対ユーロでほぼ変わらず。

<景気回復は緩やかに>

イングランド銀行(英中央銀行)は今年のGDPが0.25%増にとどまると予想している。

第4・四半期の家計の実質可処分所得は0.7%増。前四半期は横ばいだった。貯蓄率は10.2%と、前四半期の10.1%から小幅に上昇した。

コンサルティング会社RSMのエコノミスト、トーマス・ピュー氏は、実質可処分所得の増加が消費を促し、景気を下支えする可能性があるとの見方を示した。

「消費者は全体的に慎重な姿勢を崩していないが、実質賃金上昇の影響が波及しつつあるため、消費者信頼感はこの1年で徐々に改善している」と述べた。

第4・四半期の経常収支は211億8000万ポンド(267億ドル)の赤字だった。赤字額はロイターがまとめたエコノミスト予想の214億ポンドを若干下回った。対GDP比では3.1%と、第3・四半期の2.7%から拡大した。

変動の激しい貴金属取引を除いた基礎的な経常赤字の対GDPの比率は3.9%に拡大した。