Kentaro Sugiyama

[東京 29日 ロイター] - 政府が29日発表した2月の雇用関連指標は、完全失業率が季節調整値で2.6%と、前月から0.2ポイント上昇した。労働力人口が増加しており、エコノミストからは新たに職探しをする人の増加によって失業者数が増えた可能性があるとの指摘する声が出ていた。有効求人倍率は1.26倍で前月から0.01ポイント低下した。

完全失業率はロイターの事前予測調査で2.4%、有効求人倍率は1.27倍と見込まれていた。

総務省によると、2月の就業者数は季節調整値で6783万人と、前月に比べて22万人増加。完全失業者数は前月に比べて12万人増加し、182万人となった。非労働力人口が前月に比べて24万人減少しており、総務省の担当者は「仕事をしておらず探してもいなかった人が労働市場に流れてきている可能性がある。求職活動が活発になっているかもしれない」との見方を示した。

大和証券のエコノミスト、鈴木皓太氏は、失業率は悪化したものの懸念される内容ではないと指摘。「企業の人手不足感の強さを背景に失業しにくい環境は続いていると思われる。失業率が継続して悪化する可能性は低い」との見方を示した。

<高齢者層の求職増>

有効求人倍率は、仕事を探している求職者1人当たり企業から何件の求人があるかを示す。今月は有効求人数より有効求職者数の増加が大きかったため倍率が低下したが、両者が増加していることから労働市場は活発化しているとの見方もでき、「雇用情勢が大きく悪化しているとはとらえていない」(担当者)という。

厚生労働省によると、2月の有効求人数(季節調整値)は前月に比べて0.5%増となった。情報通信業や医療・福祉などの人手不足が求人増につながっている。一方、製造業では物価高によるコスト増を背景に求人を手控える動きもあるという。

有効求職者数(同)は1.0%増だった。物価高の中、年金収入だけでは生活が苦しいという高齢者層が求職を始めたとの報告があったという。