[香港 9日 ロイター] - 香港金融管理局(HKMA)の余偉文総裁は9日、香港と中国本土の相互投資制度(コネクト)の一部を深化させることを検討していると述べた。

総裁は香港で開催されたHSBCグローバル・インベストメント・サミットで、中国本土の投資家が香港の金融市場に投資する「南向き」の取引に拡大余地があると指摘。

「われわれが目指しているのは、こうした相互投資制度の一部を深化させることだ。これは長い旅路の始まりに過ぎない。特に南向きのフロー、つまり中国から世界への資本フロー、投資フローはそうだ」と述べた。これ以上の詳細は明らかにしなかった。

相互投資制度の「北向き」の取引では、オフショア投資家が中国に上場する株式、債券、上場投資信託(ETF)、理財商品を購入できる。南向きの取引では中国本土の投資家が香港の金融商品を購入できる。

総裁は「ボンド・コネクト(債券相互取引)について考えてみよう。現在は非常に限定的だ」とし、南向きの債券相互取引は現在、中国の銀行しか利用できないと指摘した。

「だが例えば、将来的に中国の資産運用会社や、もしくは重要な点だが、中国の保険会社、年金基金の取引が認められれば、香港のプラットフォームを通じてグローバル債券に資金が流入する非常に大きな可能性がある」と述べた。

中国本土と香港は資本市場の自由化と強化に向け、2017年に債券相互取引を開始。まず外国人が中国の債券を売買できる北向きの取引が認められ、21年には本土の投資家がグローバル債券市場へのアクセスを拡大できる南向きの取引が始まった。