Takahiko Wada Yoshifumi Takemoto

[東京 23日 ロイター] - 植田和男日銀総裁は23日の参院財政金融委員会で、先行き、基調的な物価上昇率が日銀の見通しに沿って2%に向けて上昇していけば、金融緩和の度合いを調整し、短期金利を引き上げていくと述べた。物価・経済見通しやリスクが変化すれば、政策変更の理由になるとも話した。ただ、金利変更の時期や幅については、予断を持っているわけではないとした。

勝部賢志委員(立民)への答弁。

植田総裁は先週19日、訪問先の米ワシントンで行った講演で、基調的に物価が上昇し続ければ金利を引き上げる「可能性が非常に高い」との考えを示した。米国での記者会見や講演での一連の発言について植田総裁は「特に新しいことを話したというより、先々週までの記者会見や国会で話してきた内容をもう一度丁寧に説明した」と述べた。

短期の政策金利について、「経済・物価の見通しやリスクを丁寧に点検した上で、2%目標を持続的・安定的に実現していく観点から適切に設定していく」と説明した。「現状では基調的な物価上昇率は2%を下回っている」とし「緩和的な金融環境を維持していくことが適切だ」と述べた。

中東情勢の緊迫化については「地政学リスクの顕現化で金融市場に不穏な動きが発生すれば、流動性を機動的かつ柔軟に供給することで金融システムへの影響を極力極小化するようオペレーションに努める」とした。金融システムへの対応以外では「基調的な物価上昇率、あるいはその近い将来の姿にどういう影響を与えるか丁寧に点検した上で政策上の対応を決める」と述べた。

(和田崇彦、竹本能文 編集:田中志保)