Ritsuko Shimizu

[東京 26日 ロイター] - アドバンテストは26日、2025年3月期の連結営業利益(国際会計基準)が前年比10.3%増の900億円を見込むと発表した。製品構成の影響もあり、会社予想は市場予測を下回っている。需要面でも、生成AI(人工知能)関連向け半導体試験装置の伸びを見込むものの、車載・産業機器・民生向けで一段と売り上げが減少する。

IBESがまとめたアナリスト16人のコンセンサス予想の連結営業利益の平均値1352億円。

会社予想はこれを下回るが、三橋靖夫・最高財務責任者(CFO)は説明会で「利益の出方がスローなのは、通常20―30%のメモリーテスタの売上構成比が24年度は高まることが収益性に影響を及ぼすため」と説明した。今後、付加価値の高い試験装置が増加していくほか、サプライチェーン強化や生産効率引上げ等も進めていく。米国による対中規制の影響は「あまり大きくカウントしていない」とした。

半導体については、需給改善が期待されるとともに、生成AI向け関連投資の増加が期待され、年後半から活況になると見通している。同社が大きなシェアを持つ半導体試験装置市場については、生成AI向けの需要が増加すると見込まれる一方で、スマートフォンやPCなど主要民生機器向けの需要は低迷を続けており、回復には時間を要するとみている。

想定為替は1ドル=140円(前期実績143円)、1ユーロ=155円(155円)。対ドルで1円円安で営業利益には7億円プラス、対ユーロでは3億円のマイナスとなる。

24年3月期の連結営業利益は同51.3%減の816億円で会社予想の850億円を下回った。生成AI関連で高性能DRAM向け売上高が増加したものの、非メモリー半導体向け試験装置市場が想定以上に減速したという。原材料費の上昇に加え、のれんの一部減損損失約90億円を1―3月期に計上したことなどから大幅減益となった。

同社は新たな中期計画を策定しており、6月25日に公表予定としている。