Pratima Desai

[ロンドン 18日 ロイター] - 米国防総省の調達部門である国防補給庁(DLA)が昨年、備蓄目的でコバルトの新規調達を検討したことが、関係筋の話で分かった。2024会計年度(24年9月終了)は追加備蓄を見送ったが、今後再び購入を検討する可能性がある。

備蓄拡大は中国への依存度を低下させる狙いがある。コバルトはミサイルや航空宇宙部品などの製造に使われ、中国が加工で圧倒的シェアを握る。

コバルト価格は22年5月以降に60%下落し、1ポンド=16ドル前後を付けていたため、DLAの24会計年度備蓄計画にコバルトが含まれなかったことは市場に意外と受け止められた。

DLAの広報担当は、国家防衛備蓄制度(NDS)で必要な備蓄量を判断するため重要物資のサプライチェーン(供給網)調査を2年に1度行っていると説明。コバルトの供給網は現在、脆弱で備蓄が必要とは見なされていないとした。

関係筋によると、コバルトに関する調査は22年9月に共和党議員団が国防総省に送った書簡がきっかけの一つとなった。

書簡はNDSのコバルト備蓄が不足し、「米国の重要鉱物供給網を危険にさらしている」と指摘。冷戦時代に約1万3000トンあった備蓄が現在推定333トンと、国内年間消費量の5%にとどまっていると指摘した。