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[北京 28日 ロイター] - 中国商務省は28日、オーストラリア産ワインに対する反ダンピング関税と補助金相殺関税を今月29日から撤廃すると発表した。3年間適用していた懲罰的な関税を解除する。

税率は最大218.4%で、2021年3月に5年間の予定で導入された。

両国関係はオーストラリアが新型コロナウイルスの起源に関する調査を呼びかけたことを受けて悪化。中国はオーストラリアからの輸入を制限したが、昨年以降は関係が大幅に改善しており、オーストラリア産の大麦や石炭の輸入制限も解除された。

同省は声明で「中国のワイン市場の状況が変わったため、オーストラリアからの輸入ワインに課した反ダンピング・反補助金関税はもはや必要ない」と述べた。

オーストラリア産ワインの関税は15年の自由貿易協定(FTA)締結後にゼロ%に引き下げられていた。

同省の声明によると、中国のワイン輸入に占めるオーストラリア産の割合は関税が課される前の20年は27.46%だったが、23年上半期には0.14%まで落ち込んだ。

豪政府は中国の決定を歓迎する声明を発表。「国内生産者は20年以降、関税によりボトルワインを中国市場に輸出することが事実上できなくなった。19年の中国向け輸出は11億ドル相当だった」と指摘した。

中国が関税を課したことを受けてオーストラリアは世界貿易機関(WTO)に提訴した。声明によると関税撤廃により提訴を取り下げる。

商務省の何亜東報道官は28日、両国はWTOの枠組みの下で紛争を適切に解決することで合意したと記者団に述べた。

豪大手ワインメーカー、トレジャリー・ワイン・エステ―ツは中国の発表を歓迎し、販売とマーケティング、ブランド管理の拡充に向けて中国の顧客との提携していくと表明した。

ティム・フォード最高経営責任者(CEO)は発表文で「当社だけでなく豪ワイン業界や中国のワイン消費者にとっても大きなプラスとなる」と述べた。