沖縄を代表する木版画家、名嘉睦稔さんの作品を展示・販売する北谷町美浜のボクネン美術館とアカラギャラリーが6月2日に閉館する。美術館などが入る商業施設「アカラ」や土地は今年2月、名嘉さんが経営するプロジェクト・コア(読谷村)が県外企業へ売却した。施設は年内にも取り壊し、跡地にはホテル建設が予定されている。

 同社によると、新型コロナウイルスの影響で売り上げが減ったほか、社として新たなステージに向けた取り組みを行う中で売却を決めたという。

 「風」をテーマに作られたアカラは2010年に開館した。建物は赤瓦やしっくい、琉球石灰岩など沖縄ならではの素材を活用し、各所に根をはわせたガジュマルやアコーの木との共生が独特の世界観を演出するなど、地域のランドマークとしても親しまれてきた。

 ギャラリーは今後、名称を「ボクネンアートギャラリー」に変えて、沖縄市のプラザハウス3階で営業を続ける。2〜3年後のホテル完成後は、テナントとして同地へ戻ってくる予定という。アカラ1階にあるオリジナルTシャツ販売のHabuBox(ハブボックス)は6月9日まで営業する。

 プロジェクト・コアの仲尾覚専務は「思いが詰まった建物がなくなるのは残念だが、若手クリエーターが活躍できるよう新たなステージを作っていきたい」とし、美術館についても別の場所で再開できるよう検討を続けていくと述べた。

 ボクネン美術館では6月2日まで「ありがとう展」を開催している。