【那覇】那覇市の牧志公設市場の建て替えに伴い撤去された、市場中央通り第1アーケードの再整備が急ピッチで進んでいる。当初の完成予定だった今年3月から遅れたものの、5月下旬に4本の支柱が立ち始め、6月初旬には約50メートルにわたって骨組みが設置された。完成は7〜8月だが、刻々と変わる街の風景も見どころの一つ。市場中央通り第1アーケード協議会の佐和田清昌会長は「日本一客の多いまちぐゎーになると思う」と期待に胸を膨らませている。

 1970〜80年代、大型店舗の進出に危機感を強めた商店街の事業者たちが設置したアーケード。同市場の建て替えに伴い2020年に撤去されたが、同協議会は新市場と同時完成を目指して再整備に臨んだ。

 物価高騰による資材高騰で設計変更を余儀なくされただけでなく、事前調査後に判明した地下の埋設物により工期が遅れた。予算超過は悩ましいが同協議会は「この街に必要」と口をそろえる。

 アーケード街は国際通りから市場本通り、市場中央通りを経てのうれんプラザまで続く重要な「動脈」だ。現状では雨天時はアーケードがない地点で引き返す客も多いため、武藤三千夫副会長は「人の回遊性が低下するだけでなく、店舗の売り上げも落ちる」と語る。

 再整備に掛けた約4年の間は、まちぐゎーから人が消えたコロナ禍に耐えた時期もある。現在は海外観光客も急増して活気を取り戻したが、那覇市第一牧志公設市場組合長でもある粟国智光副会長は「戦後の闇市から客商売の成り立ってきたのがこの街だ。アーケードがつながることで人もつながり、市場周辺の再生も完了する」と熱っぽく語った。

 完成後は記念イベントも検討しているほか、建物の防火対策や改修費に充てるために泡盛の記念ボトルも販売予定だ。問いあわせは「ゆたしく屋」電話098(866)1666。(嘉陽拓也)