「わっしょいわっしょい」と声をかけながら、みこしを引く蔵人たち=小城市小城町

 小城市の天山酒造は18日、新酒の仕込みの終わりを告げる伝統行事「甑(こしき)倒し」を行った。酒だるを載せたみこしを引いた法被姿の蔵人たちが、「わっしょいわっしょい」と声をかけながら祇園川沿いや住宅地を駆け抜け、清水観音を参拝。地元の人たちに新酒を振る舞った。

 1875(明治8)年の創業時から続く伝統行事。酒造りの際に米を蒸すためのおけを甑と呼び、仕込みを終えると横に倒して片付けることから名付けられた。沿道の人々は、みこしが来ると「これはおいしかろう」と待ちわびた様子で、注がれた酒に舌鼓を打った。振る舞い酒を初めて口にしたという林田茂則さん(75)は「いつも出遅れていたので、ようやく念願かなった。香りも良くておいしい。地元の誇り」と喜んだ。

 七田謙介社長(53)は今年の新酒について「去年は暑かったが台風や大雨の影響がなく、米の出来が良かった。上品で切れのいい酒に仕上がった」と話した。(山田宏一郎)