有田陶器市が開幕し、焼き物ファンでにぎわう皿山通り=29日午後、有田町(撮影・米倉義房)

 大型連休恒例の第120回有田陶器市が29日、有田町で開幕した。未明からの雨は昼前には上がり、主催する有田商工会議所によると約15万人の人出でにぎわった。年に一度の大蔵ざらえで特価の値札があちこちに掲げられ、詰めかける買い物客で熱気を帯びていた。

 朝は本降りの雨に見舞われ、名物企画の「朝がゆ」には傘、傘、傘の長い列ができた。出店者の間では初日は「本気の客が多い」と言われ、雨具姿の人々がお気に入りの器や掘り出し物を熱心に探していた。開会式で深川祐次・有田商議所会頭(66)は「雨でも来てくれる陶器市ファン、有田焼ファンには感謝のひと言です」とあいさつした。

 会場にはJR上有田駅から有田駅までの通りを中心に、400以上の焼き物店が並んだ。店頭には昨今の物価高とは無縁のように、特価の器が山と積まれていた。ただ飲食店は値上げしている所もあり、食べ歩きで人気の玉こんにゃくは昨年1本150円だったのを160円に。店の人は「仕入れ先の山形からの輸送料が上がって」と話した。

 インバウンドの増加で外国人の姿も多く、メイン通りに出店している武雄市の焼き物作家、六平(ろくへい)さん(57)は「昨年は外国の人がたくさん買ってくれたので、今年も」と期待を寄せた。

 有田商議所は5月5日までの期間中、120万人の人出を見込む。29日に予定していた国民スポーツ大会のデモンストレーション競技「皿かぶり競走」は3日に延期になった。(青木宏文)