『あるかしら書店』ヨシタケシンスケ/ポプラ社

 絵本作家やイラストレーターとして知られるヨシタケシンスケさんが、「本にまつわる本」を描いた作品だ。

 町のはずれの一角にある「本にまつわる本」を取り扱う専門店。店員のおじさんに「○○についての本ってあるかしら?」と聞くとたいてい「ありますよ!」と出してくれる。

 「すっごくかわいいネ!」と褒めてくれる本、2冊を合わせて初めて読むことができる『2人で読む本』、中には月明かりの下で読むことができる『月光本』、沈み行く『水中図書館』なんてものまで登場する。ヨシタケさんの高いアイデア力と画力が、子どもも大人も楽しませる一冊となっている。

 作中で「ぼくたちは本のようなものだ」と描いている回がある。本も人間もそれぞれ違うストーリーがあり、誰かの人生に影響を与えることができる。物理的な寿命はあれど、精神は受け継ぐことができる。ほかにも共通点がたくさんある似たもの同士。誰しも“人生”という物語の執筆者なのだ。だから人は本に引かれるのかもしれない。(ポプラ社/1320円)

(コンテンツ部/池田知恵)