星空にやさしい街(左)と光害

 いうまでもなく、星空は空の暗いところでの観察が適しています。街明かりが強いと、美しい星空を楽しむことは難しくなります。筆者が子どものころには、街中でも庭先から星空を満喫できたものです。現在では深夜でも街明かりがあふれており、星空を愛する人たちは街から離れたところまで出掛けていくことが珍しくありません。果たして文化的な生活を営む上で、星空を犠牲にすることはやむを得ないことなのでしょうか?

 不適切な照明が、星空や生態系に与える悪影響を「光害(ひかりがい)」と呼び、1998年3月、環境庁(現環境省)により「光害対策ガイドライン」がまとめられました。これは、照明を上向けにしないことなど、適切な照明手段によって生活との両立を図るために制定されたものです。このガイドラインには法的な拘束力はありませんが、光害の防止を目的とした条例は、1989年に岡山県美星町(現井原市)が全国に先駆けて制定し、九州では2002年6月に熊本県上益城郡清和村(現山都町)による条例が可決し、施行されています。続いて佐賀県は、同年10月に「佐賀県環境の保全と創造に関する条例」を制定しました。これは都道府県レベルでは岡山県に次ぐもので、佐賀県は光害問題に対する先進県とも評価できます。

 この佐賀県の条例は、投光器の違反については、知事による使用停止命令の権限と、命令に従わない場合には5万円以下の罰金という罰則が設けられていることが、大きな特色となっています。22年前に作られたこの条例の精神を、将来の子どもたちのために守り続けていきたいものです。

 文・早水勉(佐賀市星空学習館副館長)

 イラスト・河塚彩和(同館)

 

 ◆星空学習館のイベント◆

「神野公園でトンボを観察しよう」

【日時】6月2日9時半〜11時半

【講師】佐賀大農学部教授 徳田誠さん

【集合場所】神野公園(佐賀市) トンボ池の四阿(あずまや)

【募集】20人(小学4年以上〜大人) 

【参加費】1人300円(要申し込み)

【持ってくるもの】帽子、水筒、筆記用具