呼子大綱引で勝利した岡組の男衆たち=唐津市呼子町の三神社前

 国の重要無形民俗文化財「呼子大綱引」が1、2の両日、唐津市呼子町で開かれた。2日はクライマックスの「大人綱」があり、岡組と浜組の男衆が「豊作」と「大漁」を懸けて3本勝負を繰り広げた。岡組が2勝1敗で制し、5年ぶりに「豊作」を呼び込んだ。

 法被姿の男衆たちが直径15センチ、長さ200メートルの大綱を力の限り引き合った。「ミト」と呼ばれる大綱の中心部では、力水とともに「ヨイサー」と威勢のよいかけ声を響かせ、激しい攻防を繰り広げた。

 勝負は浜組が先行したが、岡組が2、3本目を連続で制した。岡組の平川英樹さん(54)は20年近く務めた組頭を勇退し、「みんなのおかげでいい締めくくりとなった」と笑みを浮かべた。

 呼子大綱引振興会(小林昌克会長)は、昨年11月の佐賀県伝承芸能祭で綱引きに協力した伊万里トンテントン(伊万里市)の関係者を招いた。「伊万里トンテントン祭り」の実行委員会で委員長を務める櫻井徳幸さん(66)は「ミト」で采配を振るい、「大変盛り上がり、これからも佐賀県の伝統文化を継承していきたいと思った」と話した。

 呼子大綱引は、豊臣秀吉が肥前名護屋城に陣を構えていた頃、将兵の士気を高めるため、加藤清正と福島正則の陣営を東西に分け、軍船の綱を用いて引かせたことから始まったと伝わる。1日の子ども綱に750人、2日の大人綱には2500人が訪れた。(松岡蒼大)