諫早湾干拓事業をめぐり、坂本農林水産大臣が12日、佐賀県を訪れ、開門せずに基金で解決する国の案に漁業団体が賛同したことを受け、「確実に有明海を再生させる方向を作っていかなければならない」と述べました。

去年12月の大臣就任後、初めて佐賀県を訪れた坂本哲志農林水産大臣は、12日午前、小城市の有明水産振興センターを訪れました。
坂本大臣は、今年2月に佐賀・福岡・熊本の3県の漁業団体が、“開門せずに100億円の基金で解決する”という国の案に賛同したことについて次のように述べました。

【坂本哲志農水相】
「ご賛同を受けて新たなステージのスタートラインに立つことができ、農林水産省では政府内を含めて関係者との調整を進めております」

一方、佐賀県有明海漁協の西久保敏組合長は、2年連続で養殖ノリの不作が続いていることなど有明海の現状を訴えました。

【佐賀県有明海漁協 西久保敏組合長】
「(ノリの不作について)大変厳しい状況になっていますので、大臣の力をお借りしてですね元の有明海に戻るように努力をよろしくお願い申し上げます」

【坂本哲志農水相】
「(地元の声を)しっかり受け止めながらこれから確実に有明海を再生させるそういう方向を作っていかないといけない」

一方、山口知事は、基金での解決に賛同した漁業団体の判断を重く受け止めてほしいと述べました。

【山口知事】
「漁業団体の苦渋の決断の意味、何とかして今加速化して有明海の再生をはからんやったら前に進めないっていう思いをしっかりと受け止めていただきたいなと」

また、これまで農水大臣の視察にあわせて行われてきた開門を求める漁業者との意見交換が今回初めて行われないことについて、坂本大臣は記者団に対し「今後声を聞く機会について検討していく」と話しました。