墨田区業平の四ツ目通りに、『BATHE YOTSUME BREWERY(ベイズ ヨツメ ブルワリー)』が2023年12月、オープンした。手がけるのは、錦糸町駅近くの『黄金湯』。姉妹店として『大黒湯』『さくら湯』を構えるほか、銭湯内にDJブースや番台バーを設置するなど、失われつつある銭湯文化を再起させるべく挑戦し続けてきた老舗銭湯だ。そして今回、新たな試みとしてビアバー併設のクラフトビール醸造所を誕生させた。

湯上がりにこだわりのクラフトビールを味わおう

醸造所はスケルトンの扉で仕切られており、店内から見えるずらっと並んだタンクが壮観。
醸造所はスケルトンの扉で仕切られており、店内から見えるずらっと並んだタンクが壮観。

コンセプトは「湯上がりの最高のひとときを醸造」。近辺の銭湯帰りに、風呂上がりのビールを楽しめる場として立ち上げた。用意するクラフトビールは3種類。特におすすめなのがヴァイツェン「FOREST」だ。風呂上がりの体に負担の少ないよう低めに設定したアルコール度数は3.7(サウナ)%と、遊び心満点。醸造過程でも、サウナで使用する白樺の枝葉であるヴィヒタを投入し、森林浴を感じさせる木々の香りを演出している。まさに風呂・サウナ後にぴったりな仕上がりだ。そのほか、ペールエール「SUNRISE」やIPA「SHOWER」と、異なる味わいのビールが揃い、飲み比べができるのも楽しい。今後は季節のフレーバーのビールなど、種類も増やしていく方針だという。

左から「SUNRISE」「SHOWER」「FOREST」。「FOREST」は風呂上がりにぴったりの爽やかな飲み口。
左から「SUNRISE」「SHOWER」「FOREST」。「FOREST」は風呂上がりにぴったりの爽やかな飲み口。

オーナーの新保卓也さんは、「人の流れを作れる場にしたい」と話す。スカイツリー近辺がにぎわいを見せる反面、押上・錦糸町の地元の商店にはなかなか足が向かない人が多いという。「銭湯帰りの一杯にはもちろん、近辺の飲食店や商店に足を運ぶきっかけにもなれば」。銭湯だけでなく、昔から続く地元の商店を守りたいという強い思いがある。

店舗の設計デザインは表参道の「コーヒーマメヤ(KOFFEE MAMEYA)」などを手がけた林洋介氏が担当。木の温もりを感じる、落ち着いた空間。
店舗の設計デザインは表参道の「コーヒーマメヤ(KOFFEE MAMEYA)」などを手がけた林洋介氏が担当。木の温もりを感じる、落ち着いた空間。

店内にはDJブースも備える。一人でゆっくりしてもよし、他のお客さんと会話を楽しむのもよし。心地良い音楽を聴きながら、大迫力のタンクを眺め、こだわりの詰まったクラフトビールを味わおう。

BATHE YOTSUME BREWERY(ベイズ ヨツメ ブルワリー)
住所:東京都墨田区業平4-11-3/営業時間:18:00〜22:00(土・日は15:00〜)/定休日:月・火・水/アクセス:地下鉄半蔵門線・浅草線押上駅から徒歩2分

取材・文・撮影=近藤かおり(『散歩の達人』編集部)
『散歩の達人』2024年2月号より