民事再生手続き中の旅館「白扇」(米子市皆生温泉3丁目)を巡り、地元企業をスポンサーとして再建を目指す旅館側の2回目の説明会が14日、米子市内であった。今月1日付で役員が経営責任を取って退任し、債権の弁済財源となるスポンサー企業からの借り入れを前回示した「4億4千万円」から「5億円」に引き上げると説明した。

 白扇再建を巡っては、メインバンクの米子信用金庫(同市東福原2丁目)も鳥取地裁米子支部に、東京都内のホテル再生事業者に土地や建物を売却して事業譲渡する「対案」を提出している。昨年4月の民事再生法の適用申請から1年近くがたつ中、裁判所を挟んだ調整が続く異例の事態となっている。

 この日は債権者ら約30人が出席し、旅館側の代理人弁護士が、双方から地裁に提出された修正案について説明した。米信側から指摘があった白扇役員の「経営責任」について、既に退任し、スポンサー企業の大山どり(同市淀江町中間)の島原道範社長が新社長に就いたことを明らかにした。

 5億円の弁済財源については、不動産売却による約3億円の米信案と比べて優位と強調。2案を比較すると、米信案の場合は、最大債権者でもある米信の債権回収額が5600万円少ない内容で、「経済的な損失を顧みない案を出している」と指摘した。

 再生計画案を承認決議する債権者集会は4、5月ごろに開かれる見通し。2案とも成立しなければ破産処理に移行する可能性があり、旅館側は米信に対し計画案の取り下げを求めている。