40年以上にわたりJR伯備、山陰線を走り、岡山−出雲市を結んだ特急やくもの381系電車が15日、定期運用を終えた。最後の国鉄型特急電車の雄姿を見ようと、沿線は多くの鉄道ファンでにぎわった。

 381系では赤とクリーム色の車体の国鉄特急色と緑のやくもが14日に運行終了。15日は赤と白の塗装の「ゆったりやくも」(4両編成)が、やくも1号として最後の定期列車となった。午前7時すぎに岡山駅を出発し、途中の駅や撮影スポットでファンの見送りを受け終点の出雲市駅に到着した。

 伯備線の根雨−黒坂駅間にある鳥取県日野町下榎の撮影地では、約20人のファンと和田隆根雨駅長が訪れ、汽笛を鳴らして通過する列車に手を振りながら見送った。東京都新宿区の男性会社員(30)は「往年の特急電車のイメージを残す車両が消えてさみしいが、最後の姿を見ることができて良かった」と話した。

 後藤総合車両所出雲支所(島根県出雲市東神西町)では、旅行会社主催の撮影会があり、381系の国鉄特急色と緑のやくもを展示。一部の車両で先頭部のヘッドマークを入れ替えるイベントがあり、訪れた120人がしきりにシャッターを切り惜しんだ。和歌山県御坊市の男性(47)は、かつて和歌山県内を走った381系に何度も乗ったといい「思い入れの深い車両で、参加できて本当に良かった」と振り返った。

 JR西日本山陰支社によると、381系はゆったりやくもの車両の一部が残り当面、多客期に特急やくもとして走るが、完全に引退する時期は未定という。