島根県が、出雲空港(出雲市斐川町沖洲)と松江、出雲両市内を結ぶ連絡バス車内にクレジットカードのタッチ決済設備の導入支援を決めた。券売機周辺の混雑や支払いの混乱をなくし、利便性を高めるのが狙いで、定刻通りの運行にも一役買いそうだ。バス全17台への設置を想定し、来年3月の運用開始を目指す。

 連絡バスは、松江一畑交通(松江市上東川津町)と出雲一畑交通(出雲市常松町)が運行。JR松江駅や出雲市駅、松江しんじ湖温泉駅、玉造温泉、出雲大社などと空港を結ぶ。運賃の精算は、事前に券売機などで乗車券を購入するか、降車時に車内で現金払いする方法がある。

 県交通対策課によると、空港ターミナルビル西側の券売機はバス利用者が乗車券の購入で集中し、飛行機の到着後などは混雑が常態化。松江駅や出雲市駅は券売機がなく、運賃を支払うバス降車時に現金を持っていない観光客やビジネス客が混乱するケースもあったという。事業者などにキャッシュレス化の要望が寄せられていた。

 インバウンド(訪日客)誘致の促進も狙い、車内に導入する決済端末はクレジットカードのタッチ決済を採用。クレジットカードのみの対応とすることで、初期費用と維持管理費を抑える。引き続き、車内での現金精算にも対応する。交通系ICカードやQRコードでの支払いはできない。出雲空港と松江しんじ湖温泉駅にある現金やキャッシュレスでの支払いに対応する券売機は残す。

 空港連絡バスに使う全17台への導入を想定し、整備費は計2260万円。事業者負担はなく、県が3分の1を支援し、残りは国の補助金を使う計画で採択を待っている。導入後の維持費は事業者が負担する。松江一畑交通が運行する米子空港線は従来通り、車内の支払いは現金のみとなる。

 県は事業者への整備支援経費750万円を盛り込んだ総額1800万円の2024年度一般会計補正予算案を、25日の6月定例県議会に追加提案する。