ヤマハ発動機は28日、老舗のレーシングカー開発会社の英ローラカーズと同社向けの高性能電動駆動システムの開発・供給で提携したと発表した。2025年からローラへの供給を始め、電気自動車(EV)レースの世界最高峰「フォーミュラE」に参戦する。フォーミュラEに参戦する日本企業は日産自動車に続き2社目となる。

ローラに供給するのは高性能モーターやソフトウエアなどで構成する「電動パワートレイン」と呼ぶエンジンに相当する基幹の駆動システム。フォーミュラEは参戦する車両が共通性能の電池でレースを行うため、モーターの性能や電池の能力を最大限に活用するエネルギー管理技術が競争のカギになるという。

同日記者会見したヤマハ発動機の丸山平二常務は、レースを通じてモーターの高性能化やエネルギー管理システムの高度化を図り、その技術で「全事業の底上げを目指す」と話した。レースで磨いた技術の既存事業への応用のほか、自動車各社の市販車向けに電動駆動の高性能部品やシステムを供給する事業展開も視野に入れている。

同社は多くの二輪車レースのほか、エンジン供給で自動車レースの世界最高峰「F1」などにも参戦し、モータースポーツを通じた技術開発に豊富な実績を持つ。その経験からフォーミュラEへの参戦が今後の事業の脱炭素対応などに役立つと判断し、ローラと提携した。(池田昇)