厚生労働省が3日公表した公的年金の財政検証では、毎月の年金受給額について世代別の分布推計を初めて示した。若い世代ほど低年金者が減る見通しのほか、女性の受給額も改善する方向で、若い世代で広がる年金制度への不安感解消につなげる狙いがありそうだ。

就労期間が延びる傾向にあるため、現在の若い世代はマクロ経済スライドで抑制されても、年金の受給額は維持される。

分布推計では、2021年度末の個人単位の被保険者記録を5分の1抽出して試算。現在65歳の男性は平均受給額が月額14万9千円なのに比べ、過去30年投影ケースでは現在30歳の男性の平均受給額が月額14万7千円とおおむね同じになる。

また、現在65歳の女性では、月額7〜10万円を受給する割合が42%と最も多く、次いで10〜15万円が22・9%を占める。これに対し、過去30年投影ケースの場合、現在30歳の女性は10〜15万円が42・4%と最も多く、7〜10万円は25・4%、15〜20万円は11・8%で、現状よりも受給水準が改善する見通しを示した。(大島悠亮)