俳優、竹中直人(68)が24日から東京・銀座のギャラリー巷房(こうぼう)で開催する個展「なんだか今日はだめみたい」(7月6日まで)を23日、サンケイスポーツなどに一足早く公開した。絵、写真、映像を3つの部屋に分けて紹介。約300点の絵の中には来場者が足で踏んだり、手でくしゃくしゃに丸めたりできる作品も。遊び心満載の竹中ワールドが幕を開ける。

エンターテイナーらしい独創的な空間が公開された。壁一面に男性や猫のスケッチ、線画がズラリ。その光景を見渡しながら竹中は「自分で言うのも…ですが、暑くるしくなくていいですね、夏の季節だから。おちゃめな感じで説教臭くなくていい」とはにかんだ。

母校の多摩美大客員教授でもある画伯は3年前、同ギャラリーで行われた知人の個展を訪れた際、関係者からオファーを受け、16年ぶりの絵の展示を決意。「気を抜いていたら今年になっていて、2月くらいから慌てて書き出した」と苦笑しつつも、「40分から50分くらいで集中して一気に描く。一人即興劇をやっているみたいに」というスタイルで撮影などの合間に人物や初挑戦の猫など約300枚の〝即興画〟を描き上げた。

魂のこもった作品を完成させたが、それだけでは終わらない。会場には「ふんで下さい」と添え書きされた〝踏み絵〟や、「ぼくをまるめてね♡くしゃくしゃにして良いよ!」と絵が描かれた紙を重ねて設置。「自分の基本にあるんでしょうね」という遊び心満載の空間になっている。

一方、写真と映像はiPhoneで撮影。写真コーナーには2014年のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」で2度目の豊臣秀吉に扮した姿やジョーカーメークの自撮りショット、仏ドーヴィルで撮影したメリーゴーラウンドの写真などを展示。映像コーナーでは富士山や逗子海岸、プラハやローマなど国内外の風景に楽曲「スピーク・ロウ」の口笛をのせた約4分の作品を紹介している。

この日を含め2日間の設営もNODA・MAP「第27回公演『正三角関係』」の稽古の合間に駆け付けたが、「楽しいですね。多摩美時代を思い出しました」と笑顔。ギリギリまで絵に言葉を添え、映像をチェックするなど竹中のこまやかな心配りが込められた個展は注目を集めそうだ。

★大忙し 24日自伝発売、7月は舞台に映画も

竹中は個展が始まる24日に自伝エッセー「なんだか今日もダメみたい」(筑摩書房)を発売。7月11日には出演舞台「正三角関係」(8月25日まで)が東京・西池袋の東京芸術劇場で初日を迎え、7月26日には5度目となる豊臣秀吉を演じる映画「もしも徳川家康が総理大臣になったら」(武内英樹監督)の公開も控えるなど大忙しだ。