プロ野球は29日にセ・パ両リーグが同時に開幕する。いよいよ始まる2024年シーズン。リーグ優勝奪還を狙うヤクルトは、育成出身で4年目の赤羽由紘(よしひろ)内野手(23)がオープン戦で存在感を示し、2年連続の開幕1軍をつかみ取った。

内野手登録ながら外野も守れるユーティリティープレーヤー。パンチ力のある打撃が持ち味の右打者で、オープン戦は15試合に出場し、打率・375(16打数6安打)、2本塁打、4打点。高津監督に「失敗を恐れず、スイングを仕掛けていくのが若者らしい。大きなミスをすることもあるけど、しっかりとバットを振って結果を出すことに関しては、非常にアグレッシブでいいと思う」と高く評価された。

1軍定着へ、視界が開けてきた。変化を恐れず、前進しようとする姿勢が好結果につながっている。チームの〝神宮1号〟をマークし、注目を集めた16日の今季本拠地初戦(対楽天)。23歳は打席でひらめきを実践した。

「パッと思いついて、ちょっとやってみようと思った」と、打席内でのボールの見方を変えた。これまでは投手側の左目だけで見ていたが、両目で見るように変更。大胆なチャレンジが奏功し、「あんまりそんなところは意識したことがなかったけど、両目で見ることによって、構えたときに左肩が(捕手寄りに)入らなくなった。ボールの見え方もよくなった」。20日の日本ハム戦(神宮)でもソロを放ち「うまくはまった」と手応えを得た。

普段から思いつきで新しいことに挑戦することがあるという。その原点には、2年連続でオフに弟子入りした球団OBで同じ右打者の内川聖一氏の教えがある。

「調子が悪くなったときに、良かった時期の自分に戻ろうとするな。戻ってもそれは過去。自分の体の状態も違うし、相手投手も研究している。変化して、進んでいかないと。もちろん戻ることも大事かもしれないけど、いろんなことに挑戦していくのも大事」

長野・松本市出身で、日本ウェルネス信州筑北高、独立リーグのBC信濃を経て、育成ドラフト2位で入団した赤羽は、2022年に支配下選手登録を勝ち取り、初の開幕1軍入りを果たした昨季は29試合に出場した。NPB通算2186安打の安打製造機から学んだ〝トライ精神〟を胸に成長曲線を描く若武者。視界良好のまま、ペナントレースに挑む。(サンケイスポーツ・ヤクルト担当)