福岡市東区の市立こども病院の敷地内にある患者家族用の宿泊施設「ドナルド・マクドナルド・ハウスふくおか」(ふくおかハウス)が、運営を支えるボランティアを募っている。コロナ禍で登録者が減り、その後も人手が不足しているためで、施設側は「病気と向き合う子どもとその家族のために力を貸してほしい」と呼びかけている。

こども病院そばで安心

 ふくおかハウスは、全国に同様の施設を設ける公益財団法人「ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン」(東京)が2015年5月に開設し、寄付や利用料で運営している。

 こども病院には、高度な医療を受けるため市外や県外から多くの小児患者が通院、入院しており、付き添いの親やきょうだい児らが1人1泊1000円の低料金で滞在。2階建ての建物にシャワー付きの個室21部屋を備え、共用の台所、洗濯機なども使うことができる。米やカップ麺などの食材や、歯ブラシといった寄付品も置かれている。

 2月中旬に男児を出産した福岡県古賀市の女性も、ふくおかハウスを利用。男児は心臓の手術を受けて入院中で、女性は「生後10か月頃まで入院する可能性が高く、往復の負担も大きいので、ここに滞在できるのは本当に助かる。病院が目の前で、すぐ会いに行けるのも安心」と語った。

コロナ禍で人手不足に

 施設には財団の職員3人が勤務するが、部屋の清掃やシーツなどの洗濯、ベッドメイキング、夜間の巡回などはボランティアが交代で担う。開設当時は16部屋だったが、宿泊希望者が多くて部屋が足りず、年間約140家族が利用できなかったことから、19年秋に5部屋を増やし、約200人のボランティアが交代で施設を維持していた。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で一時閉鎖し、20年7月の再開後も「密」を避けるため、利用者やボランティアの人数を制限。これに伴い、ボランティアの登録者も次第に減り、現在は約130人まで減少した。

 一方、こども病院ではコロナ禍で制限されていた手術が再開するなどして、患者も増加。ふくおかハウスでも人数制限を撤廃し、利用者は22年の500家族から、23年には623家族に増えており、今後も施設の利用者増加が見込まれる。

 舛元啓二・ハウスマネジャーは「付き添いは精神的にも経済的にも負担が大きい。子どものために頑張っている家族を一緒に支えてほしい」と訴える。

 ボランティアは4交代制で、午前中のみなどの活動も可能。毎月第2金曜、土曜の午後3時から説明会を開催しており、参加は事前申し込みが必要。問い合わせは、ふくおかハウス(092-692-2031)へ。

続く赤字…寄付も募る

 ふくおかハウスは、運営費の寄付も募っている。

 米国で1974年に誕生した患者家族用宿泊施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス」は現在、世界に約380か所、国内に12か所あり、九州では福岡市の1か所のみ。各施設は、それぞれの地元で集めた寄付金や自治体からの支援で運営されているが、ふくおかハウスは開設時から赤字が続いている。2020年は813万円、21年は328万円を財団が補填(ほてん)した。

 単発の寄付のほか、毎月300円から継続して寄付する「マンスリーサポート」も募集している。食材や日用品などの寄付も受け付けている。