1年前の2023年5月に、中野市で散歩をしていた2人の女性と、通報で駆け付けた2人の警察官が殺害された事件。
社会に大きな衝撃を与えた事件が発生した日、現場では何が起こっていたのでしょうか。
犯行を目撃した男性が1年ぶりに語った新たな証言とともに事件を振り返ります。


「男が女性を刺した」

事件は2023年5月25日の午後4時20分ごろ、農地が広がる中野市江部(えべ)の住宅地で発生。

現場には大勢の警察官が駆けつけ騒然としました。

当時、第一通報者となった近所に住む男性は・・・。

SBC


第一通報者の男性:
「俺の2、3メートル手前で追いついて、捕まえてそのまま『ブスっ』です」
「『なんでそんなひどいことするんだ』って言ったら『殺したいから殺してやった』って言って」

凶行に及んだ、青木政憲(あおき・まさのり)被告32歳。

4人を殺害した罪などで、逮捕・起訴されています。

防犯カメラに映った散歩をする2人の女性。

事件の被害者となった、近くに住む、竹内靖子(たけうち・やすこ)さんと、村上幸枝(むらかみ・ゆきえ)さんです。

散歩が日課で、事件当日も2人で歩いていました。

2人が自宅前を通りかかったそのとき、青木被告が竹内さんにナイフで襲い掛かります。

その後、村上さんを100メートルほど追いかけ、複数回、突き刺したのです。

あの日、畑で作業していたという、通報者の男性。

5月、事件からおよそ1年ぶりにSBCの取材に応じ、当時の状況を証言しました。

目撃したのは、助けを求めながら逃げる村上さんが、青木被告に追いつかれ、襲われた、まさにその瞬間でした。

SBC


第一通報者の男性:
「(村上さんは)誰か何とかしてという事でしたけどね。阻止して何とかしてあげることはできなかったですね」
「完全に血の海でしたね」
「(青木被告は)サイボーグみたいな表情で感情を全く出さない」

青木被告は、最初に襲った竹内さんを自宅の敷地内に運んだ後、再び村上さんのもとへ。

そこにパトカーが到着します。

駆け付けたのは中野警察署に勤務していた池内卓夫(いけうち・たくお)さんと、玉井良樹(たまい・よしき)さんでした。


第一通報者の男性:
「一輪車(台車)を押してこいつ何考えているんだと思っていたら、鉄砲持ち出して、パトカーを狙った」

青木被告は、パトカーに乗った2人に向かって猟銃を発砲。

更に玉井さんをナイフで突き刺し、2人を殺害したのです。

SBC


犯行に使われたのは、ボウイナイフと呼ばれる大型のナイフ。

そして、殺傷能力の高いハーフライフルでした。

その後、青木被告は自宅に立てこもります。

夜には…。

現場から午後7時台と8時台に、1回ずつ銃声が。

青木被告は自殺を図ったとされています。

警視庁や神奈川県警からも続々と応援が駆けつけました。

記者:
「午前3時過ぎです。現場の裏手の駐車場でしょうか。車が1台入ってきました。おそらく捜査関係者車両とみられます。周辺にはヘルメットをかぶった捜査員の姿も確認できます」

記者:
「いま人影見えた。人影見えた。現場の住宅の人影が見えました」

立てこもった青木被告が手に銃のようなものを持っている様子も確認されました。

そして・・・。

記者:
「現場付近に男の姿が見えました。午前4時半過ぎ男の姿が見えます。いま敷地内を歩いています」
「現場に動きがありました。午前4時半過ぎです。現場付近の捜査員が盾を構えるのをやめました。何らかの動きがあったのかもしれません」

事件発生から12時間余りが経った、26日午前4時37分。

記者:
「確保、確保です」

父親の説得に応じた青木被告は投降し、身柄を確保されました。

SBC


当初、警察の調べに対し、青木被告は「ぼっちだと馬鹿にされていると思った」と語っていました。