静岡県東部の高校生3人の「自然環境を守る」という夢に、ある企業が必要な資金として100万円を出すことになりました。なぜ企業は、高校生にこれだけの資金を出そうと思ったのでしょうか。

<山一金属 大賀丈久専務>
「待っていました。よろしくお願いします」

日大三島高校の3年生3人は、静岡県長泉町でアルミのリサイクルを手掛ける「山一金属」にやってきました。

<山一金属 大賀丈久専務>
「日本中のアルミ缶が山一金属に集まってリサイクルされて、ペレットになって、また、アルミ缶になる。アルミ缶とアルミ箔のリサイクルをしている会社です」

生徒たちが訪問したワケは、3人で計画した〝夢のプラン〟の実現をこの会社がサポートしてくれるからです。

「ザリガニの被害としましては、農家が植えた稲の根っこをザリガニが食べてしまうなどの被害があります」

3月、長泉町で開かれた高校生たちによる『実現したい夢』プレゼン大会。日大三島の3人は、稲を荒らすザリガニを駆除し、そのザリガニを原料にサーモン養殖用のエサをつくるプランを発表しました。

「最優秀賞を受賞したチームは、日本大学三島高等学校『ザリガニとサーモンで環境を循環させる』です」

農業や生態系を守りながら、資源を無駄なく活用する計画が高く評価され、夢実現の資金100万円をもらう権利を得たのです。

<日大三島高校 畑岸孝伸さん、成田拓真さん、高井憂波さん>
「この企画はザリガニの殻が固いという懸念点がありますが、成功できると私は思っているので、成功させたいと思っています」

4月はじめ、3人は大会を主催した山一金属を訪れました。

「ザリガニを使った飼料ってどんなイメージ?」
「ペレット状の飼料をメーカーが作っていて、ペレットの中にいろいろな飼料とザリガニの粉を入れて固めて、それのほうが実現性が高い」

<山一金属 大賀丈久専務>
「いや、一緒にやらなきゃだめですよ。僕らが」
「彼らがその環境問題に対して課題を持ってくれていましてそこを解決したい。一緒になってこの夢を叶えたいなという風に思いました」

高校生に夢を実現する資金を提供するため、企業は「寄贈型PIF」という特殊な契約を銀行とむすびました。PIFとは「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」のことで、社会のためになる目標を実現することができれば、融資の一部を他人に贈ることができます。この融資を受けるために、自社の課題の解決に取り組んでいます。

<山一金属 大賀丈久専務>
「アルミを溶かさずに、二酸化炭素排出を極力少なくした弊社独自のシステムがこちらにあります」

山一金属は、アルミ缶の再生に伴う二酸化炭素排出量の大幅削減など7つの課題があるうち、すでに4項目をクリアしています。

<静岡銀行本部 法人ファイナンスグループ 山崎剛課長>
「今年度にもう達成の見込みというふうに伺っておりますし、高校生の夢を実現するイベントも達成できる。開催できるというところになる」

<日大三島高校 畑岸孝伸さん、成田拓真さん、高井憂波さん>
「100万円は餌づくりの時に使うのと、サーモンを一度養殖して運用してみる費用に100万円を充てたい」

高校生の夢を実現するため、応援する企業も環境への配慮などに努力しています。

<水野涼子アナウンサー>
アルミをリサイクルしている企業としてみれば、高校生が問題になっているザリガニを駆除しながら資源を有効活用しようとする夢に共感したんでしょうね。

<金原一隆記者>
生徒たちは、これから水田などで増えてしまうザリガニを捕獲し粉末状にしたりエサを作ったりサーモンに与えてみるなどの計画を実行して行くということです。