ユニクロなど一部の大手企業が先駆けて導入していた「選択的週休3日」が、地方公務員にも広がり始めた。勤務時間を柔軟にして休日を増やすという新たな働き方は根付くのか。選択的週休3日の仕組みと、導入した企業の社員の本音、普及への課題を取材した。

選択的週休3日には、大きく分けて2つの方法がある。1日あたりの勤務時間を増やして1週の勤務時間を維持するか、1週の勤務時間を減らして給与を減額するか。公務員に広がりつつあるのは前者だ。

愛知県日進市は2025年6月末までに、全職員が「週休3日」を選べるようにする。24年7月から育児や介護をしている職員を対象にスタートし、課題を整理した上で全職員に広げる。

公務員の一般的な勤務時間は午前8時半〜午後5時15分。休憩を除くと7時間45分だ。1週間で38時間45分となる。

日進市は24年7月、午前7時〜午後10時の間で4〜12時間働き、週に38時間45分の勤務を満たせばいい「フレックスタイム制」を導入する。1時間の休憩を挟み、午前10時〜午後3時の4時間は必ず勤務する。週に1日は勤務しなくてもいい日を設けることで、週休3日を可能にする。日進市はコロナ禍を機に、在宅勤務や時差出勤を拡充させるなどの働き方改革に取り組んできた。人事課の味岡正樹係長は「働き方の選択肢を増やすには、業務全体の見直しが不可欠。DX(デジタルトランスフォーメーション)と業務改善を加速させ、市民サービスの向上につなげたい」と意気込む。

茨城県は24年4月から週休3日を選べるだけでなく、さらに柔軟なフレックスタイム制を導入している。午後1〜3時の最低2時間は働くことを条件に、1日の勤務時間を2〜12時間の範囲で設定し、4週間で合計155時間勤務して帳尻を合わせる。週に1日、勤務しなくてもいい日がある。対象は、教職員や交代制勤務者などを除く全職員。職員は業務に支障のない範囲で、例えばある週は1日2時間働き、翌週は12時間働くこともできる。事前に上長に申請して許可を得る。

国家公務員の場合、16年4月からすでに育児や介護をしている職員には選択的週休3日が認められている。25年4月には、交代制勤務者などを除く全職員に拡大されることが決まっている。