「わたしの防災」です。静岡県静岡市で赤ちゃんと一緒に防災について学ぶイベントが開かれ、地域の助産師が講師に立ちました。
「災害時に頼ってほしい」
いざというときに赤ちゃんを守れるよう助産師がお母さん、お父さんとの関係作りに力を入れています。

「よーい、スタート」

静岡市で開かれた「ぼうさいうんどうかい」。イベントをきっかけに災害時の赤ちゃんへのケアを学ぶ機会にしてもらいたいと開かれました。

ハイハイレースの傍らで、防災に関する相談に乗っているのは地域の助産師です。

<女性>
「それこそまだ何も始まっていない授乳中なので、(災害のとき)授乳の場所は」

<助産師>
「大きな拠点に助産師が入ろうと思っているので。そういうところに避難してきてくれれば、助産師がいて、授乳スペースを確保する」 

出産や育児のサポートを専門とする助産師が防災に力を入れるのには理由があります。

2024年1月に発生した能登半島地震。自宅が断水したことで沐浴ができず、生後1か月の男の子の体に湿疹が出てしまったケースがありました。

県内でも2022年9月の台風15号で、断水やミルク不足など赤ちゃんへの影響は避けられませんでした。

<清庵助産師会 吉田順子会長>
「行政が入るまでに時間がかかったんですよね。台風15号のときにも。行政が入る前に私たちがミルクとかおむつとか、あるものを提供したことで、皆さんが過ごしやすくなったらいいなと思ったので。もっと助産師を知ってもらえれば、皆さん頼ってくれるのかなと感じたので」

実は助産所の数は東京、京都、神奈川に次いで県内は、全国で4位。助産師が身近にいる地域であるものの、「災害時に頼ってもいい」という認識は限定的です。

だからこそ顔の見える関係づくりを重視します。

<助産師>
「これ、災害時に着るベストになっていて。ピンクですごく目立つので、これがいれば助産師」

<女性>
「じゃあ、声かけて」

<助産師>
「声かけてくれて全然いいです」

<女性>「避難所に行ったときに、助産師さんが来てくれたり、いてくれたりしたら安心だなと感じます」

自分の地域にはどんな助産師がいるのか知っておくことも1つの備えになります。

助産師が家庭でできる準備として特に呼びかけるのが赤ちゃん用の防災バッグです。

< くさの助産院助産師 草野恵子さん>
「このさらしは、おむつにも使えるし、三角巾にも使えるし、赤ちゃんを抱いたりおぶったりにも使える」

替えのおむつや防寒着はもちろん、様々な用途がある「さらし」がおすすめということです。紙コップも重宝します。

< くさの助産院助産師 草野恵子さん>
「哺乳瓶がなくても、こういう紙コップがあれば吸うので。こうあげてもいい。ミルクを作っても、哺乳瓶を洗う水がなかったり、かえって不潔になるので」

<清庵助産師会 吉田順子会長>
「子どもを連れて逃げる災害のときの大変さは段違いで変わってくる。私たち(助産師)を知ってほしいというのと一緒に、防災を考えてみる時間を取ってほしい」

守る命が増える分、普段から念入りな備え、そして地域の頼れる人とのつながりが大切になります。

取材した清庵助産師会では、防災バッグの準備を呼びかけるチラシの配布も行い、赤ちゃんとの避難に備えてもらおうと活動しています。助産師自身も車におむつを1ケース積んでおくなど災害時を想定して備えを進めているということです。
こうした相談をするにも地域にいる助産師と普段から繋がりを持っておくことが安心に繋がりそうです。