血圧の上昇を抑制する。動脈硬化を予防する。心疾患のリスクを下げる......
血圧の上昇を抑制する。動脈硬化を予防する。心疾患のリスクを下げる......

知ってましたか? 5月5日は「ワカメの日」。普段、あまり注目されない食材だけど、よく調べてみるとものすごく体にいい成分がたくさん含まれていた! そこで、ワカメの効果と食べ方を大紹介! GW後半はワカメざんまいだ!

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■生活習慣病予防にアンチエイジング!

5月5日は「こどもの日」、だけでなく「ワカメの日」でもある。

その理由を日本わかめ協会は「この時期は新ワカメの採取が一段落し、おいしい新ワカメが市場に出回るため、ワカメの良さをより知っていただきたいと定めました」と説明している。

そう、ワカメは今が旬なのだ!

そして、ワカメには骨を丈夫にするカルシウムや高血圧予防に役立つカリウムなどが多く含まれているだけでなく、最近はほかにも健康に良い成分が多いことがわかってきた。

和洋女子大学家政学部健康栄養学科准教授で『臨床栄養学−基礎から学べる』(アイ・ケイコーポレーション)などの著書がある多賀昌樹氏が解説する。

「ワカメは非常に多くのポリフェノールを含んでいる食材です。ポリフェノールには抗酸化作用や抗糖化作用があります。

例えば、私たちはメカブ(ワカメの根元に位置する部分)の研究をしているのですが、メカブを食べると血糖値が上がりにくくなることがわかりました。キャベツ40gとメカブ40gを比べたときに、キャベツよりもメカブのほうが血糖値上昇を抑えていた。

また、メカブのほうが血糖値を下げる働きのあるホルモンGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の分泌が持続していました。

そこで、食後血糖値の上昇をより抑えるためには『野菜ファースト』よりも、『海藻ファースト』のほうが効果があるといえるでしょう。

また、動脈硬化の主な原因のひとつには、血液中に糖がたくさんあることなのですが、ポリフェノールの抗糖化作用で動脈硬化を抑える働きがあるのではないかともいわれています。

さらに、ナトリウムの過剰摂取は高血圧の原因になるといわれていますが、メカブを食べるとアルギン酸がナトリウムに吸着して体内に吸収されにくくします。そのため高血圧の予防にもなります。

アルギン酸は、メカブやアカモクなど粘りが強い海藻に含まれています。ですから、粘りが強い海藻を食べると同様の効果が得られるのではないでしょうか」

血糖値の上昇や動脈硬化を抑えたり、ナトリウムを排出してくれたりと、ワカメは生活習慣病の予防に効果があることがわかったが、実はそれだけではない。

ワカメなどの海藻の摂取が虚血性心疾患の発症リスクを低下させたという研究結果について、高知県立大学健康栄養学部講師の村井詩子氏が説明する。

「私たちは、心筋梗塞と急性死を含めて虚血性心疾患と定義しました。そして、海藻の摂取頻度が多い場合、虚血性心疾患の発症リスク低下と関連していたことがわかりました。

1990〜94年に海藻の摂取についてアンケート調査を行ない『ほとんど食べない』『週に1〜2日』『週に3〜4日』『ほとんど毎日食べる』の4グループに分けました。その後、約20年間追跡し、循環器疾患(心臓や血管の病気)との関連について調べました。

すると『海藻をほとんど食べない』グループと比べて、『海藻をほとんど毎日食べる』グループは、虚血性心疾患の発症リスクが男性で24%、女性で44%低いことがわかったのです。

なぜ、このような結果になったのか。これまでにヒトや動物実験の結果から、海藻に含まれているフコイダンが血液中の中性脂肪やLDLコレステロール値を改善することや動脈硬化を抑制すること、ワカメの粉末を摂取すると血圧値の上昇が抑えられたことなどが虚血性心疾患の発症抑制につながったと考えられます」

ワカメなどの海藻を食べていると、虚血性心疾患のリスクが下がるということはいえるかもしれない。

ちなみに、よく聞く「ワカメを食べると髪の毛が増える」というのは本当なのか? 多賀氏に聞いた。

「ワカメを食べたから髪の毛が増えるということは、まずないと思います。もし、そうだったら皆さん試して、すでに生えていると思うんです。ただ、偏った食生活をしていて髪の毛が薄くなっている人が、栄養バランスのいい食事をすると髪の毛にいく栄養が取れるかもしれません。

そういう意味では、ワカメなどに含まれているポリフェノールはアンチエイジング作用がありますし、亜鉛はタンパク質合成をしっかりしてくれる。髪の毛が健康な状態でいてくれるということはゼロではないと思います。ですから、ワカメを食べないよりは、食べたほうがいいと思います」

では、ワカメをどれくらい食べればいいのか。村井氏が答える。

「今回は頻度についての調査でしたが、1食分の目安としては水戻し量で約20gです。イメージは小鉢のワカメの酢の物くらいの量です」

とはいえ、毎食ワカメを食べるのは、なかなか難しい。そこで、タレントで女優の橋本マナミさんが、ワカメを大量に取れるレシピを教えてくれた。それが〝ワカメ丼〟だ。

「乾燥わかめを水で戻して、ゴマ油とお醤油で炒めて白ゴマをかければ完成。白いご飯にのせて食べます。とても簡単です」

旬のワカメを使ったワカメ丼。健康増進のため、ぜひ、食べてほしい!

■橋本マナミさんオススメの超簡単ワカメ丼レシピ

橋本マナミ 1984年生まれ。タレント、女優。公式Xは【@manami84808】、公式Instagramは【@manami84808】。ワカメ丼は、橋本さんが下積み時代によく食べていたそうです。材料費は6円!?
橋本マナミ 1984年生まれ。タレント、女優。公式Xは【@manami84808】、公式Instagramは【@manami84808】。ワカメ丼は、橋本さんが下積み時代によく食べていたそうです。材料費は6円!?

材料(2人分) 
●乾燥わかめ......7g(水で戻して使用) 
●ゴマ油......フライパン4分の3周 
●醤油......フライパン1周と4分の1 
●白だし......適量 
●ご飯......茶碗2杯分 
●白ゴマ......適量 

作り方 
●油を引かずにフライパンで ワカメを炒める 
●水気がなくなったら、ゴマ油を回し入れる 
●醤油を回し入れる 
●白だしは風味つけ程度に入れる 
●全体を炒め合わせる 
●茶碗にご飯を盛り、炒めたワカメをのせる 
●白ゴマを振りかける

取材・文/村上隆保 写真/PIXTA(ワカメ)