「134」。湘南に生まれ育った人なら一度は必ず聞く言葉。三浦半島から鎌倉をつなぐ国道134号線、別名「西海岸通り」。湘南と言えばこの道という地元民は多いと思う。海を一望しながら、江ノ島や鎌倉などの観光地に立ち寄ることができる。間違いなく湘南を代表する場所だ。

今回はそんな134号線において自分たちの「かっこいい」を追求し、134を流す“ローライダー”たちに話を聞き、彼らが掲げるモットーである「still 134」=“国道134号線を走り続ける”という言葉の意味についても明らかにしながら、6名のローライダーたちとの“ストリートトーク”を5回に分けてご紹介する。最後となる第5回は、カップルで二人ともアメ車に乗ってるという、ふうとさんとユイさんにインタビュー。

「still 134」を合言葉にするZ世代ローライダーの5&6人目にインタビュー

現在の愛車は「シボレー インパラ 68年」のふうとさん、「シボレー エルカミーノ 87年」のゆいさん

石井:5回に分けてお送りしてきたローライダーへのインタビューも、今回が最後になります、よろしくお願いします!

ふうとさん、ゆいさん:こちらこそよろしくお願いします。

石井:カップル二人でアメ車に乗っているとのことで珍しいかなと思って、ぜひペアでお話を伺わせてください!まずは現在乗っている車を教えてください。

ふうとさん:「シボレー インパラ 68年」です。

ゆいさん:「シボレー エルカミーノ 87年」になります。

ふうとさんとインパラ

ゆいさんとエルカミーノ

石井:そもそも、アメ車を購入したきっかけはなんですか?

ゆいさん:もともとはバイクがきっかけで、バイクを積める車っていうのと、彼がインパラに乗っていたというのもあって、それがきっかけですね。最初は諦めてたんですけど、Twitter(現:X)上で欲しいと思っていたエルカミーノを売っているのを見かけて、彼に相談した時に後押ししてもらって購入しましたね。

石井:やっぱり彼氏さんの後押しは大きかった?

ゆいさん:もちろん。やっぱり壊れやすいとか維持費が大変とかはずっと聞いてたので最初は不安しかなかったけど、一番相談しやすい人がローライダーだと安心できるのもあって購入しましたね。

石井:ふうとさんは?

ふうとさん:最初は自分の叔父が乗っているのがきっかけだったね。それを見て育ったから憧れはずっとあったけど、「買えたらいいな〜」くらいの感覚だった。けど、あきみさんと同じで、江ノ島にいるローライダーたちを見て、「やっぱいいなあ」って気持ちが上がってしまって購入した感じだね。

江ノ島に向かう2台

石井:今の車も含めて、これまでどんな車に乗ってきた?

ゆいさん:エルカミーノが初めてで、バイクも3年前に買って一から組み立ててる感じ。エンジンとかもやり直してるから、まだ乗れてない(笑)。

石井:それ以外は何も?

ゆいさん:そうですね、前までは本当に家族の車くらいしか乗ってなかったです。

石井:ふうとさんは?

ふうとさん:インパラの前にはシボレーのC10っていうトラックに乗ってましたね。趣味がアウトドアなんで、キャンプ道具もサーフィンもできるような車が欲しくて買った感じかな。そのC10を手放して、今のインパラを迎え入れたって感じ。

ゆいさん

石井:二人にも聞きたいんだけど、今の車のこだわりポイントはある?

ゆいさん:とにかく乗れるっていうのにはこだわってるかも。アメ車っていっても、普段から乗り回せる、がしゃがしゃ乗れるっていうのはこだわってるポイントかも!

ふうとさん:自分は今、いろいろとやり直してる段階。もともとホッピングとかできないタイプだから、フレームも一からやり直して、パーツも一つずつ集めて自分のできることをやってる。だからこだわり自体も今作り上げてる段階かも(笑)。

石井:それぞれの車のフェチとかある?

ゆいさん:音かな。やっぱりエンジンをかけた音とか、少しエンジンをふかした時のあの振動も含めて好きかな。

ふうとさん:ボディかな。自分が乗ってるインパラがあきみさんのと種類は一緒でも年代ごとに違っていて、自分のもその年代にしか出せない味があるし、曲線とかを見ても惚れ惚れしちゃうよね。まあ、特にボディラインかな(笑)。

ふうとさん

石井:おすすめのドライブコースとかスポットとかある?

ゆいさん:結局134を流して、江ノ島に行くのは定番なのかも。一回鎌倉のほうまで出て、七里ヶ浜の「パシフィック(ドライブイン)」に寄って江ノ島に戻るっていうルートが鉄板かも。

ふうとさん:江ノ島に行って、誰かいれば一緒に遊ぶし、そこからテラスモールの前でみんなと解散するとかかな。

石井:やっぱり134号線に行くと思うけど、何か理由とかあるの?

ふうと:“still 134”っていうのがみんなの中にある言葉で、意味は今でも134を走り続けているって意味なんだけど。地元の友だちはみんな都内とか仕事で引っ越しちゃうことが多いけど、俺らはやっぱりずっと湘南に住んでいるし、ローライダーっていう車に乗っているからこそ、134号線にこだわって走り続けたいんだ。“still 134”って言葉は湘南に住んでいるローライダーの文化だし、それがみんな134号線を走る理由だと思う。

石井:実はそういう文化が背景にあるのか、深いね。

ふうと:ぜひこの言葉は使ってほしい(笑)。

134を走るインパラ

あの人気ブランド「Jordan」の撮影にも参加

石井:これからもローライダーに乗り続けるにあたって、目標とか夢はある?

ふうとさん:自分はあきみさんとは少し違う感じ。あきみさんはニュースクール寄りでカッコよさを追求したいって話だけど、自分はオールドスクールで自分のこだわりを追求したいかな。コアな話だけど、90年代のウェストコーストの走り方があって、足回りの組み方も結構違っていて、そういう走りができる車に仕上げていきたいね。

ゆいさん:壊れないのが第一前提かな(笑)。特別な車だけど、普段から乗れる車っていうのは崩したくない。この前、車検に出してみたら、修理部分が多くてプラス15万くらいはかかったし、コンビニに行ったらエンジンがかからなくなって、レッカーしたこともあるけど(笑)。ちゃんとケアしながら、これからも街乗りを楽しみたい。

石井:やっぱり古い車っていうのもあって苦労も絶えないんだね(笑)。

お二人のお気に入りの写真

江ノ島も含めて134号線に魅せられて、今でも自分たちのこだわりを胸に流し続けるローライダーは、今後もきっと134号線でクルージングをし続けるのだろう。彼らのようにまた誰かが彼らを見て、134号線に魅了される人も増えていく。そして「Still 134」は湘南の一つの文化として広まっていくのかもしれない。既に自分も話を聞いてそんな言葉に魅了された一人だ。インタビュー受けてくれた6名の皆様本当にありがとうございました!