精力的なプレスバックで伊藤翔が奪いにかかる。完全に取り切れなかったが、こぼれたボールを拾った中村拓海が左に展開。パスを受けた中野嘉大がドリブルで持ち運び、最後は狙いすましたシュートで勝利を決定づけるチーム2点目を挙げる。2−0で横浜FCが今季初白星を手にした3節・山形戦のワンシーンだ。

 得点のきっかけを作る守備を見せた伊藤は、この試合で80分に途中出場。限られたプレータイムのなか、価値ある仕事ぶりで勝点3に貢献した。

 今季はまだ先発はなく、途中出場が続く。目に見える結果は残せていない。「もちろん、前の選手なので点を取りたい」と意気込む35歳のFWは、ゴールやアシスト以外でも、やるべきことを整理している。

「攻撃の回数を増やすっていうのは大事だと思っている。トップやシャドー、ボランチもそうだけど、そこでいかにボールを失わずに前に運んでいけるか、いかに前に有効なボールを出せるか。結局、攻撃の回数が増えれば、必然的にゴール数やチャンスも増えてくる。自分が試合に出たら、それをやりたい」
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 4節を終えて、チームの総得点は「3」。オフェンス面での迫力不足は否めず、攻撃パターンもやや単調な印象だ。

 トップやシャドーで起用され、実績も十分な伊藤は、「1つ、何かしら挟んでからゴール前に入っていく。そうすれば、みんなが上がってこれる時間も作れる」と、起点となるようなプレーも考えている。

 視野が広く、ワンタッチで味方に預けて攻撃のテンポアップを図れば、状況に応じてキープ、あるいは反転して局面を打開する。相手DFを引きつけてスペースを空けるフリーランニングもいとわない。

 たしかに、伊藤はまだ決定的な仕事に絡めていないが、これぞベテランの妙とも言えるプレーには光るものがある。攻撃をより活性化するためにも、背番号15のさらなる奮起に期待したい。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

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