4月7日、クラブのレジェンド、小野伸二が見守るなか、フェイエノールトは6−0という歴史的な大差でアヤックスを下した。シュート数を比べても30本対1本という完全勝利だった。
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 上田綺世は77分、サンティアゴ・ヒメネスに代わってピッチに入った。

「デ・クラシケルということで選手もサポーターもモチベーションが高いなか、素晴らしい結果でした。すごい雰囲気でした」

 伝統の一戦の開始30分前に小野が場内を一周して挨拶したときと、両チームの選手がピッチに入場した直後、ハチマキを頭に巻いた小野がフェイエノールトの巨大フラッグを振るイラストの弾幕がゴール裏に翻った。それはまさに2002年、フェイエノールトがUEFAカップを戴冠したときの小野の姿をオマージュしたものだった。
 
 昨年9月、今季いっぱいで小野が引退することを発表した直後、「自分も伸二さんみたいに、いつまでも人々の記憶に残るような選手になりたいです」とコメントした上田は、このデ・クラシケルの後、本当にしみじみと小野について語ってくれた。

「本当にすごいなと思います。一人(三浦知良)は超人ですから例外として、引退はいつかするじゃないですか。やっぱり僕は海外でプレーをすればするほど、伸二さんの偉大さがより分かってきてます。

仮に僕がフェイエノールトでもう1シーズン、2シーズン――そこは分かりませんが、フェイエノールトでキャリアを積んで本当に活躍したとしても、今の伸二さんほど讃えてもらえるのは難しいと思う。日本でもそれは難しい。それがこうやって海外の自分のいたクラブに呼んでもらって賞賛されている。自分がそうなる気はしないですよね。

 僕もセルクル・ブルージュで讃えてもらいましたが、自分が引退する時にそこまでのものではないと思うんです。在籍した期間も1年ですし、そんなに偉大な存在になることはできるものなのかなと思ったら、やっぱり...(しばし沈黙の後)無理だなって、正直僕は思ってしまう。伸二さんはやっぱり手の届かない存在だと思います。

 今、フェイエノールトで試合に出れていない身としても、ここで結果を残して、こうやって讃えられることがどれだけ難しいかということを、この8か月で痛いほど分かるので、より本当に偉大だなと思います」
 
――ゴール裏の伸二さんの、見ましたか? あれ凄かったですね。

「見ました。そういうのをしてもらえる存在になれるかっていうと。しかもフェイエノールトでね。今の僕の立場から言うと、もうすごいとしか言いようがないですよね。もう偉大だとしか思えない。僕がたぶん来年 30点取って移籍しても、そこまでしてもらえるか分かりません」

――30点取っても無理ですか?

「それぐらいの伸二さんの影響力じゃないですか。だって(オランダは小野にとって)母国でもないじゃないですか。例えば自身の国のクラブだったらあるかもしれません。サンティ(サンティアゴ・ヒメネス/メキシコ代表)が今年ビッグクラブに移籍して、いつか引退した時にそうなるのかなって思うと、いや、どうなんだろうと思います。だって、フェイエノールトにはそんな選手いっぱいいるじゃないですか。伸二さんが特別あそこまでリスペクトされるっていうのは、やっぱり伸二さんのすごい魅力というか、功績だなと思います」

 その小野はタイムアップ終了直後、フェイエノールトの応援マフラーを巻いてピッチに降り立ち、満面の笑顔で観客と勝利を祝い合っていた。

取材・文●中田 徹

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