NECはKNVBカップ決勝戦でフェイエノールトを相手に0対1の惜敗を喫して準優勝。オランダリーグでは5位アヤックスに勝点3差及ばずの6位に終わり、NECは2度のヨーロッパリーグ行きのチャンスを逃していた。しかし、プレーオフ経由でカンファレンスリーグへ進む道はまだ残っている。NECは5月23日、ホッフェルト・スタディオンに9位ゴー・アヘッド・イーグルを招いてプレーオフ準決勝を戦った。
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 先制点はNEC。57分、右スローインからサイドを崩し、ロベルト・ゴンザレスのクロスに小川航基が飛び込んで潰れ、その裏で待ち構えた佐野航大がヘッドで決めた。

「やっぱり(小川)航基くんにマークが集中しているので、自分に対するマークの甘さを感じていた。後半最初に似たようなシーンがあったんですが決め切れず、CKになった。だから、あそこは自分のところに来ると思った。ヘディングはあまり得意じゃないんですが、いい形で流し込めました」(佐野)

 潰れ役となった小川は、相手DFともつれた際に腰を強打して倒れていたため、佐野のゴールシーンを見てなかったという。

「やっぱり僕ら(NEC)は...、というかオランダではクロスからああいうチャンスが生まれる。僕はそこに入っていけるし、航大はああいうところ(=小川の背後)に入ってこれる。そこでゴールを奪い切る能力が今年、航大に付いたと思います」(小川)

 これで佐野は3試合連続ゴール。今季通算6ゴール目(リーグ戦4点。プレーオフ1点。カップ戦1点)だ。しかし、佐野のビューティフルゴールも実らず、NECは1対2の逆転負け。後半、アディショナルタイムには、相手チームの選手が交代でゆっくりベンチに戻ろうとしたため、佐野が背中を押したところ両者がにらみ合う格好となり、両軍入り乱れてのもみ合いを誘発した。

「僕、もう無意識だったんで...。普段はそんなことやらないです。J2で一度あったので初めてではないですが...。アディショナルタイムで、チームは負けていた。あそこで僕が時間を使ってしまったのは反省点。相手の作戦に乗っかってしまった...」(佐野)

 こうしてNECはプレーオフ決勝進出ならず、来季の欧州カップ戦出場を逸してしまった。

「悔しいです。確かに点は獲ったけれど、ただ悔しいだけです...」(佐野)

「『チームとしていいシーズンだった』と言われるかもしれない。しかし結局は何もなし得てないわけで、満足できるようなシーズンではなかったのかな...」(小川) 
 
 佐野によると、ベテランMFラッセ・ショーネがロッカールームでこうスピーチをしたという。

「今は残念な感じだけれど、振り返れば今シーズンは素晴らしかった。ここで終わってしまうのは悲しいかもしれない。だけどみんな顔を上げるんだ」(ショーネ)

 オランダ初年度の佐野は後半戦に入ってから試合に絡みだすと、瞬く間にチームの中心になり、フォルクスクラント紙の「今、オランダリーグで最も魅力的な選手11人」に名を連ねた。

「欧州1年目。航基くんには本当にお世話になりました。最初の頃は試合に出られず、半シーズンで6点というのは悪くないとは思いますけど、 もっとアシスト(3)を伸ばして、ゴール・アシスト両方できる選手になりたい。だから満足せずに来季も頑張ります」(佐野)
 今季の小川はほぼレギュラーとしてプレーしたが、その過程ではバス・ドストとの競争、負傷、体調不良、そして終盤にはシラ・ソウに2試合続けて先発の座を明け渡した。だからこそ、リーグ最終戦の対アルメレ・シティ戦でスタメンの座を取り返して今季リーグ戦11点目(昨冬コペンハーゲンに移籍したマットソンとともにチーム最多タイ)をマークしたのは価値があった。

「僕の未熟さゆえ、スタメンから外される展開になったと思う。自分にはそうしたタフさみたいなところがまだまだ足りないんだと思う。もっともっと自分はエネルギーを出してやらないといけなかったと、今振り返って思います。来年はそういう苦手なところも克服できるよう取り組んでいきたい」(小川)

 さらに彼は言う。

「今日はブロム(ナウティンク主将。DF)が声をかけながら統率していた。そういう鼓舞する選手が、もっといないといけない。僕がね、そういうところも担えたら」(小川)

 小川は「欧州1年目で公式戦15ゴール。もうちょっとリーグ戦で点を取りたかった。最低限のことはやったという感覚ですが、もっともっとやらないといけなかった」と数字を振り返ってから続けた。
 
「ずっと欧州に行きたいと思っていました。こうして1シーズンを送ってみて幸福度が高かったというか、やっぱり刺激の多かった1年でした。外国人として生活するという環境の激変もありました。ここのサポーター、このスタジアム――点を決めたときの雰囲気、ミスしたときの雰囲気、勝ったときの雰囲気、負けたときの雰囲気、全部含めて刺激的で、僕の人生にとってなかなかの1年間でした。

(語気を強めて)ただ、本当にもっと早く来たかった。この1年を振り返ってみても、もっと早く来たかった。僕はもう27歳(8月8日が誕生日)になるんでね。航大(20歳)のことが羨ましい。ただ、過去にはもう戻れないので、ここから自分でできるとことをやっていきたい。サッカーを100%楽しめるこの環境と生活が本当に楽しかった。日本代表にも呼ばれたり、いろいろなことがあったシーズンでした。

 少しだけ休んでから、来季の目標として『今シーズンをしっかり超えていく』ことを掲げてやっていきたいと思います」(小川)

 NECは今季のサプライズ。結果、内容はともに良く、ホッフェルト・スタディオンの観客席は毎試合1万2000人の観衆で膨れ上がった。そのなかで欧州1年目の侍ふたりが果たした役割は途轍もなく大きかった。

取材・文●中田 徹

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