「前を意識してプレーする頻度が増えました」

 本人がこう語る通り、湘南ベルマーレのMF奥野耕平がボックス内に侵入する回数が増えているように感じる。秀逸なポジショニングで、シュートまで持ち込む回数も多い。

 奥野の成長が顕著に表われたのが、6月12日の天皇杯2回戦・甲南大学戦だ。3−5−2のアンカーで先発した背番号15は、守備でバランスを取りつつ、機を見て攻撃参加。79分の田中聡の投入でサイドボランチ(インサイドハーフ)にポジションを移すと、さらに前線へのランニングが増加し、結果的にはチーム最多の6本のシュート数を記録した。
【PHOTO】勝利を願い選手と共に闘った湘南ベルマーレサポーター
 この試合以外でも、決定機への関与が増えている印象の奥野。本人も攻撃面に手応えを感じ始めているようだ。

「これまでは僕の武器である機動力を守備でしか使えていなかった。今は背後へのランや前線のサポートに使えるようになってきた感覚があります」

 周囲のサポートにも助けられているという。

「(小野瀬)康介君やヤーマン(山田直輝)ら、ボールを持った時に余裕がある選手は、こっちから目を合わせにいくと高確率で良いボールが出てくる。それが分かっているので、前目のポジションで出た時は相手と相手の間に走り込むという意識は強く持っています」

 プロ6年目でいまだにJ1での得点がない奥野は、取材の場でたびたび「目標はJ1初ゴール」と口にしてきたが、今季こそネットを揺らす時が訪れるかもしれない。

 そんな予感を、近頃の奥野に抱かずにはいられない。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

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