4月25日にシャビ・エルナンデス監督が今季限りでの退任を撤回し、来季もバルセロナを率いると発表したが、その前日の4月24日の時点ではバイエルンやドイツ代表を率いたハンジ・フリック氏が来季のバルセロナの監督に就任することで内定していたようだ。23日、スペインメディアの『スポルト』が報じた。


 シャビ監督は1月27日に行われたビジャレアル戦での敗戦後に、「この状況は方向転換に値するものであり、クレとしてこの状況を続けることはできない」と今シーズン終了後の退任を表明。それを機に、開幕から不安定な戦いぶりを露呈していたクラブは、公式戦13試合で無敗を記録するなど復調を遂げた。


 しかしバルセロナはシャビ監督の退任を前提に来季の監督探しに着手しており、同クラブの会長を務めるジョアン・ラポルタ氏が以前から高く評価していたフリック氏が来季のバルセロナ監督に就任することで内定していた。


 そんななか、4月24日にラポルタ会長は自宅でシャビ監督と “寿司ディナー”を開催。そこでシャビ監督はラポルタ会長に「自分はこのクラブの素晴らしい未来を感じています。この若い選手たちを戦力として頼り、最後まで戦えます。希望が戻って来たんです」と話し「私たちにはプロジェクトがあり、それを達成する必要があります」と主張した。


 すると、ラポルタ会長はそんなシャビ監督の前向きな姿勢に心を打たれ、フリック監督就任が内定していたにも関わらず、翌日の4月25日にシャビ監督の退任撤回と続投を発表する記者会見が開かれたと『スポルト』は説明している。


 一方、来季バルセロナを率いると伝えられていたフリック氏は、良好な関係を維持するバルセロナ所属のある選手に監督内定していることを明かしていた。しかし、フリック氏はその選手から“寿司ディナー”のあとに、バルセロナがシャビ監督の続投を発表したことを知らされ、フリック氏もその選手も何が起こっているのか理解できずに当惑したという。


 そんななか、ラポルタ会長に未来は明るいと話していたシャビ監督が16日にアウェイの地で行われたアルメリア戦(2−0でバルセロナが勝利)を前にした会見で、「25年前とは違うんだ。前は監督がこの選手とこの選手が欲しいと言えば補強できた。けど、今のバルセロナはファイナンシャル・フェアプレー(FFP)の問題を抱え、他のクラブとは違う状況にいる。バルセロナサポーターはそれを理解しないといけない」と、バルセロナの置かれている状況は楽観的ではなく時間と忍耐が必要と発言した。


 それを知ったラポルタ会長は激怒。シャビ監督の解任を決断し、再度フリック氏に監督就任をオファーする方向に舵を切った。


 なお、フリック監督は突然バルセロナからハシゴを外されたことに怒りを覚えていたが、バルセロナを率いることに魅了されていたことから、来季からバルセロナを率いることで契約が進んでいると説明されている。