大阪マラソン、2時間6分18秒で優勝

大阪マラソン(2月25日)で国学院大3年の平林清澄が衝撃のマラソンデビューを飾った。優勝という結果もさることながら、学生最高記録と初マラソンの日本最高記録を塗り替える2時間6分18秒の好タイム。2028年ロサンゼルス五輪に向け、日本マラソン界に新たなスターが生まれた。

レース展開も完璧だった。残り10キロの上り坂でスパート。2024年パリ五輪代表に内定している小山直城(ホンダ)らを振り切り、先頭へ。さらに、40キロを過ぎてスピードを上げ、2時間4分台の記録を持つキッサ(ウガンダ)も振り切った。

日本陸連の瀬古利彦・ロードランニングコミッション・リーダーは「学生に実業団の選手が負けているのは少しみっともない。学生に負けてしまったのは悔いが残るな」と話したが、実業団選手以上の冷静な走りを平林が見せたのだ。

タイムも文句なしだ。横田俊吾(当時青学大、現JR東日本)が保持する日本学生最高記録(2時間7分47秒)に加え、西山和弥(トヨタ自動車)の初マラソン日本最高記録(2時間6分45秒)も大幅に更新した。

学生3大駅伝皆勤賞も区間賞は1度だけ

衝撃的な記録だが、この快走を予想できた人がどれだけいただろうか。

福井・美方高出身の平林は国学院大のエースであり、学生長距離界のトップランナーではある。が、学生3大駅伝の結果だけ見れば、今回のマラソンの結果には結びつかない。

平林清澄の学生3大駅伝の結果


平林は1年生の時から学生3大駅伝全てに出場している。いずれも区間上位で安定した力を出しているものの、区間賞は昨年の全日本大学駅伝の1度だけだ。もしかしたら、駅伝のような短い距離ではなく、マラソンのような長い距離に適性があるのかもしれない。

パリ五輪の規定タイムには届かず

これだけの好タイムだから今年のパリ五輪代表に、と思うかもしれないが、それはかなわない。

昨年のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)で代表3枠のうち、2枠が決定。3枠目の代表になるためには、今回の大阪マラソン、3月3日の東京マラソンで日本陸連の定めた「2時間5分50秒」を切ることが必須条件だった。そのため、平林がパリ五輪代表になることはないのだ。

なお、両大会でこの記録を切る選手がいない場合は、MGC3位の大迫傑(ナイキ)が3枠目の代表になる。

ただ、平林が2028年ロサンゼルス五輪の希望の星になったことは間違いない。まだ大学3年生。これからどれだけ記録を伸ばしていくのか、楽しみである。

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