開幕4試合目でようやく“大会1号”

『第96回選抜高校野球大会』が聖地・甲子園で開幕。3月30日(土)の決勝戦に向けた13日間の熱い戦いの幕が開いた。

今春の大きな話題となっているのが、新たに導入された「新基準バット」だ。投手の故障防止などを目的に、公式戦で使用する金属バットの基準が23年ぶりに見直され、今年のセンバツは以前よりも“飛ばないバット”で試合が行われている。

具体的にはバットの直径の上限が3ミリ小さくなり、ボールが当たる部分の金属の厚みが1ミリ厚くなった。これによりボールを弾き返す際の反発が抑えられ、打球の初速と平均速度が3%以上遅くなり、それに伴って打球の飛距離も5mほど落ちる見込みだという。

実際に今大会ここまでの試合を見ても、外野手の定位置が例年よりもかなり浅めになっているシーンが多々見られ、本塁打も2日目・第1試合に登場した豊川の主砲モイセエフ・ニキータが放った1本のみ。6試合中4試合が2点差以内の接戦となっている。

高校野球に金属バットが導入されてから、今年でちょうど50年。新時代へと移行しようという中で、絶滅が危惧されるのが「高校通算本塁打」という指標である。

佐々木麟太郎が歴代最多140発

高校球界のスラッガーを紹介する時に、度々用いられてきた「高校通算本塁打」。公式戦だけでなく練習試合での本数も含むものが多いため、その数字だけで過去の大打者と比較するのは無理があるのだが、ひとつの“勲章”として大会前の特集やドラフト会議関連の記事などで目にする機会も多かった。

特にこの数年は“歴代1位”の記録が塗り替えられたこともあって、高校通算本塁打関連のニュースが大きな注目を集めた。歴史を動かしたのが、花巻東の佐々木麟太郎である。

なんと高校1年にして通算50発を記録した超高校級スラッガー。最終学年の春には早々と歴代最多記録を更新し、最終的にその数字を「140本」まで伸ばした。

当然ながら秋のドラフト会議に向けても注目を集めていたが、プロ志望届は提出せずに高卒でのプロ入りは見送り。米国の名門・スタンフォード大学に進学することが決まっている。

それまで高校通算本塁打の最多記録を保持していたのが、早稲田実の清宮幸太郎(現・日本ハム)だ。

1年夏の甲子園でいきなり2本塁打を放った怪物スラッガー。3年夏の西東京大会・準決勝でそれまでの歴代最多とされていた107本目の本塁打を放ち、最終的には「111本」でフィニッシュ。2017年のドラフト会議では高校生史上最多タイとなる7球団からの1位指名を受け、日本ハムに入団した。

鳴り物入りでプロの舞台に進むも、これまでの6年間で記録した通算本塁打は49本。高校通算本塁打の半分にも届いていない。7年目の今季こそ一軍での爆発が待たれるところだったが、春季キャンプ直前の故障で出遅れている。自身のSNSでは「強くなって帰ってくる」と綴っているだけに、巻き返しに期待したい。

現役プロ野球選手の「高校通算本塁打」TOP10

現役プロ野球選手の「高校通算本塁打」TOP10

現役プロ野球選手の「高校通算本塁打」をランキングにしてみると、清宮に続くのが名門・大阪桐蔭が生んだ2人の大砲だ。

2位の中田翔は本塁打王こそないものの打点王に3度輝いた実績を持ち、3位の中村剛也は本塁打王を6度獲得。ともに球界を代表するスラッガーへと成長を遂げた。

また、中村に次ぐ4位の岡本和真も、27歳の若さでセ・リーグ本塁打王を3度も獲得している。こうした成功例もあるだけに、清宮をはじめランキングに入っている若手選手たちにはより一層の奮起に期待したい。

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