俳優の唐沢寿明(61)が、23日放送のTBS系「日曜日の初耳学SP」(後9・00)に出演し、出世作から物議を醸した次の出演作について語った。

 92年に出演したフジテレビ系ドラマ「愛という名のもとに」は、大学のボート部で部員だった7人が社会に出た後、それぞれが壁にぶつかりながらも前へ進む姿を描いた群像劇。唐沢は、主演の鈴木保奈美の恋人役で、政治家を目指す秘書を熱演した。

 正統派な爽やか青年のビジュアル、正義感あふれる役どころで一躍脚光を浴び、人気俳優の仲間入りを果たした。しかし、そんな出世作の次に選んだ作品が、真逆のキャラクターで物議となった。TBS系ドラマ「ホームワーク」で演じたのは、ユーモアあふれるお調子者のサラリーマン。あまりにギャップの大きすぎる役に、所属事務所には抗議電話が殺到したという。

 「ファンの人はそれが嫌だったみたいで」と唐沢。「よく(劇中で)『デカメロン伝説』という歌をカラオケで歌ってたんです。デカいメロンのことじゃないのに、僕はデカメロンってデカいメロンを(歌いながらジェスチャーで)投げてたりしたんです」と振り返った。しかし、あえて高低差のある役を選んだのには、唐沢なりの哲学があったという。

 「宣伝するのに着ぐるみをかぶって街に出たり、こうやって踊ったり、いろんなことをやろうと思ったのが、そういうのをいい時期にやらないとダメだなって。落ち幅が小さくて済むじゃないですか?売れなくなってから着ぐるみをかぶると、“ダメになったからだ”って言われるけど、いい時にやれば“この人、チャレンジャーだな”って思われないですか?」

 俳優にもイメージ通りの役どころを演じ続けるタイプと、様々な役を演じようと挑戦するタイプがいるが、唐沢は明らかに後者。「いきなり違う役をやるというのも、俳優にとってはおもしろいことなんで」と話し、「成功しても失敗しても、自分にとってはゼロか100でいいと思ってる。真ん中っていうのが一番つまんないと思うんですよね。誰の記憶にも残らないというか」と、俳優論を語っていた。