◇ナ・リーグ ドジャース0−2ナショナルズ(2024年4月17日 ロサンゼルス)

 ドジャースの大谷翔平投手(29)は17日(日本時間18日)、ナショナルズ戦で今季3度目の3安打を放った。31安打は両リーグトップに並び、打率・360はナ・リーグ5位に浮上。今季19打数1安打の得点圏では一度も打席が回ってこなかったが、今季4盗塁目の二盗を決めるなど、躍動した。チームは今季初の零敗を喫し2カード連続の負け越しとなったが、孤軍奮闘した。

 カリフォルニアの日差しに、自然と力がみなぎる。大谷は初回に右腕アービンの内角カットボールを右前に運ぶと、6回もカーブを最後は右手一本になりながら拾い右前打。8回は右腕ハービーの98・6マイル(約159キロ)直球を中堅左にはじき返し、4万4428人の大観衆を沸かせた。

 タイミングを外されても食らいつき、剛速球にも振り負けない。柔と剛を掛け合わせた内容で、8回は捕手に送球を諦めさせる完璧なスタートで今季4盗塁目の二盗も決めた。デーブ・ロバーツ監督は「ファンタスティックだった。素晴らしい仕事をしてくれた」と称賛。4試合連続安打で、17試合連続出塁。打率は・360まで上昇し、リーグ5位に浮上。31安打はアストロズ・アルテューベ、同僚のベッツと並び両リーグトップに立った。

 元々好相性のデーゲームは、今季31打数14安打でリーグトップの打率・452と打ちまくっている。これまでデーゲームに強い理由を「たまたまじゃないですか」と語ってきたが、もう“たまたま”では片付けられない。睡眠時間を確保しづらいナイター後のデーゲームでも、スケジュール管理を徹底。結婚後も生活リズムを変えず「ギリギリまで寝る」ことが信条だ。この日も開始2時間40分前の午前9時30分に球場入り。いつも通り、蓄積疲労回避のため屋外には出ず、室内調整に専念した。

 16日は3打席連続で得点圏で凡退し、今季の得点圏は19打数1安打(打率・053)。試合後のロバーツ監督も「好機で積極的になり過ぎている部分はある」と渋い表情だった。松井秀喜(ヤンキースなど)の日本選手最多175本塁打に並んで以降、5試合連続で本塁打は出ていない。それでも指揮官は大谷に「これを続けられれば、一層良くなる」と期待を寄せた。

 チームは昨年7月30日のレッズ戦以来、今季初の零敗で、2カード連続で負け越して、地区首位ながら波に乗りきれない状況だが、大谷が孤軍奮闘した。これで年間30本塁打、30盗塁ペースで、日本選手初のトリプルスリーへの夢も膨らむ。

 大谷は取材対応がなく、「お疲れさまでした」とだけ話して帰路へ就いた。19日(日本時間20日)からは本拠地でメッツとの3連戦に臨む。豪快なアーチは待たずとも、自然とやってくる。(柳原 直之)