NBAで6季目のシーズンを終えた渡辺雄太(29)が20日、自身のSNSでライブ配信を行い、来季のBリーグ入りを表明した。複数の関係者の話を総合すると、既に20近いクラブが獲得に興味を示しており、争奪戦が繰り広げられることは必至だ。

 今季は2年契約を結んだサンズでシーズンをスタートしたが、出場機会を伸ばせず、今年2月にトレードで18〜19年以来となるグリズリーズに復帰。3月1日の試合を最後に手首の負傷で離脱し、終盤は「個人的な理由」でコートに立たず、22試合連続欠場でシーズンを終えた。

 「個人的な理由」について、この日、「メンタル的なことでお休みをもらってました」と明かした。

 グリズリーズ復帰後、初出場した試合で大きな手応えをつかみながら、次の試合の前にコーチに「ユウタ、この試合出ないよ」と言われて大きなショックを受けた。出番なく試合を終えてホテルに戻ると、「引くくらいワーっと泣いて。体中の水分が全部出たんじゃないかというくらい泣いた」と言う。

 体に異変が起きたのはその後だった。「とにかく楽しもうと」練習で汗を流し、次の試合で出番が巡ってきたが、「コートに出た瞬間、体に力が入らなくなって。体の筋肉が硬直する。全身に重りをつけているみたいな。なんだこれと思って」。オールスターのブレークが明けても、症状は改善せず。手首の負傷もあって、そのままシーズン終了となった。

 ただ、渡辺は「グリズリーズには感謝しかなくて。コーチが悪い、チームが悪いと言っているわけではない。きっかけになっただけで、限界はもっともっと前にあったんだと思う」とし、「終わり方はこうなっちゃったけど、最後までやりたいこと、夢に向かって最後まで突っ走れたかなというのはある。1ミリも後悔はない。凄いすがすがしい気持ち」と話した。

 現状については「メンタルは凄く回復しているし、五輪があるということで練習はずっとやっていた。体の調子としてはむしろいい」と説明した。

 ◇渡辺 雄太(わたなべ・ゆうた)1994年(平6)10月13日生まれ、香川県出身の29歳。香川・尽誠学園高時代に全国選手権で11年から2年連続準優勝。米ジョージ・ワシントン大を経て18年にグリズリーズと契約し、日本人2人目のNBA公式戦出場を果たした。21年東京五輪では日本代表の主将を務めた。妻はフリーアナウンサーの久慈暁子。身長2メートル6、98キロ。ポジションはスモールフォワード。