展開面にスポットを当てて勝ち馬をあぶり出していくG1企画「展開王」。東西記者ダービーで激しいトップ争いを続ける寺下、田村はともに穴馬を指名してきた。寺下をわずかな差で追う田村はマテンロウレオに◎。競馬の教科書を開いてほしい。人気薄の逃げにご用心。長距離戦は騎手のヘッドワークがものをいうとある。名手・横山典が絶妙なペースを刻み、3分間の好配ドラマを奏でる。

 京都芝3200メートルは向正面の半ばからスタート。最初のコーナーまで約400メートルと十分に距離がある。昨年こそ序盤からタイトルホルダーとアフリカンゴールド(2頭とも競走中止)のハナ争いが繰り広げられ、2周目の3角付近ではアイアンバローズ(13着)が早め先頭に立つなど入れ替わりが激しくなったが、基本的に京都の長丁場は各馬、折り合い重視。すんなり隊列が決まる傾向にある。

 今年、逃げる馬は?横山典騎乗のマテンロウレオだろう。同馬は気分良く運ぶことが最も大事。キャリア初の大逃げを打った前走・日経賞4着と同じ展開に持ち込む。五分のスタートから最初の下り坂を利用してスイスイ加速。大歓声を浴びるホームストレッチで後続との距離を少しずつ離していく。前走はスタンド前の歓声でハミをかんでしまったが、その失敗を踏まえ、今回から初めてメンコを着用(音に敏感な馬に効果的)。昆助手は「追い切りでも着けて乗っているけど、効果がありそうな雰囲気は感じる」と感触を伝えた。馬具の効果てきめんなら歓声で折り合いを欠く心配はなさそうだ。

 好位のテーオーロイヤル、ドゥレッツァは折り合い重視で進める。先頭こそ平均ペースで流れるが、好位より後ろはスロー展開。完全な独り旅だ。5馬身、もしくは10馬身のセーフティーリードを保ったまま2周目の向正面に入る。2度目の下り坂でタスティエーラ、ブローザホーンが動き出す。マテンロウレオは後続を十分に引き寄せて、直線入り口で再加速。テーオーロイヤル、ドゥレッツァが差を詰めてくるが折り合った分、前走とは違って最後のひと押しが利く。粘りに粘って後続を振り切るとみた。横山典は15年ゴールドシップを含め天皇賞・春を3勝。04年イングランディーレでは10番人気の低評価を覆す逃げ切りVを決めた。長距離G1の勝ち方を熟知しているベテランが波乱を演出する。