◇インターリーグ ドジャース4−0ホワイトソックス(2024年6月26日 シカゴ)

 ドジャースの大谷翔平投手(29)が26日(日本時間27日)、ホワイトソックス戦に「1番・DH」で出場。初回に2試合連続の先頭弾となる25号を放ち、球団新記録の10試合連続打点とした。バットを地面に置いて左足を置く位置を確認するルーティン導入後は好球必打に磨きがかかり、これで6月11発目。本塁打数でナ・リーグトップを独走する最強リードオフマンの活躍で、地区首位のチームは4連勝で貯金を20とした。

 あまたの言葉で凄さを表現されてきた大谷。使われていない言葉は、あといくつあるだろう。試合後、デーブ・ロバーツ監督は「地球上で最も危険極まりない打者」と言った。今季3度目、通算9本目となる2試合連続の先頭弾。「シンプルにストライクを振ることが一番。そこさえできていれば、良いスイング、良い構えができている証拠」と誇った。

 初回。右腕フェディーの際どい球を見極め、フルカウントに持ち込んだ。「塁にまず出る(ことが大事)。(四球は)選択肢の中にもちろんある」と冷静に待ち、6球目の外寄り高めのカットボールを右中間に運んだ。2ボール2ストライクから放った前日と同様に最初のスイングでの一発。試合開始数分で、1883年創設の名門球団の歴史を難なく塗り替える10試合連続打点とし「自分の打撃を継続していくことを一番に考えている。その結果、打点がついてきている」と分析した。

 14日のロイヤルズ戦からバットを地面に置き左足の位置を決めるルーティンを導入し、スイングを崩されやすい内角球の見極めが向上。ロバート・バンスコヨック打撃コーチによれば大谷自身の発案で「翔平は打席で一貫性を保つことを大事にしている」と言う。今季ここまでのチェイス率(ボール球を振るスイング率)27・6%は昨年の29・7%を下回り直近3年で最低。新ルーティンも導入した6月に限れば22・3%で、打点がつくここ10試合は12・6%まで下がる。10試合で8発を量産しているが7発が中堅から右方向。引っ張った打球を中心に自己最多46本塁打を記録した21年に似ているが、確実性もアップした今季は2位に4本差で独走する25本塁打だけでなく打率・322もナ・リーグトップだ。

 今月11本目で21、23年に月間MVPを獲得した「6月男」は「シーズンに慣れてくるので、ちょうどそういう波が来やすいのかな」と言う。本塁打後は勝負を避けられるように3打席で2四球。ロバーツ監督は「ベース上への投球は強く打たれるから相手も2四球を与えた」と語った。

 これで年間49本塁打ペースとし、3度目の月間MVPも見えてきた。ボール球を振らず、ストライクを打つ。単純明快だが、超一流選手がしのぎを削る舞台で実践し続けるのは難しい。泰然自若で好球必打を続ければ、3冠王が現実味を増す。(柳原 直之)

 ≪稼頭央に並ぶ通算9本目≫大谷の先頭打者本塁打は今季3本目で通算9本目。日本選手最多はイチローの37本で大谷は松井稼頭央に並ぶ2位タイ。メジャー最多はリッキー・ヘンダーソンの81本。また2試合連続は自身初。28日(日本時間29日)のジャイアンツ戦で3試合連続とすれば昨年8月のアレックス・バードゥーゴ(レッドソックス)以来、史上4人目。メジャー最長は96年のブレイディ・アンダーソン(オリオールズ)の4試合連続。

 ≪本塁打競争参加にロバーツ監督が歓迎と懸念≫ロバーツ監督がオールスター戦前日恒例の本塁打競争への大谷の参加について言及。「もし翔平が出場するなら野球界にとって素晴らしいこと」と歓迎する一方で「監督、球団側としてはもっと慎重になり、スイング数が増え、強度が増すという事実に対して用心深くならなければならない。彼は右肘のリハビリ中だ」とも語った。大谷自身は前日に「リハビリをやっているのでドクターやトレーナー、チームの許可が必要」とコメントしていた。

 ≪メジャー記録は102年前グリムスの17≫連続試合打点の大リーグ記録は102年前の1922年にカブスのレイ・グリムスが記録した17。「長年破られていない連続記録」の一つとして知られている。この記録に最も近づいたのは、球宴出場12度を誇るメッツのマイク・ピアザ。00年6月14日〜7月2日に15試合連続打点をマークした。この期間は打率.349で28打点。ピアザは主に4番に入っており、打点の機会に恵まれたが、自身も8本塁打で打点を稼いだ。1番に定着している大谷がどこまで迫れるか注目だ。