ロブ・マンフレッド・コミッショナーは23日(日本時間24日)、米ニューヨークで会見を行い、ストライク・ボールを機械的に判定する「ロボット審判」の導入について言及し、「2025年から導入される可能性は低い」と語った。

■「技術的な問題が残っている」

大谷翔平投手(ドジャース)の打席でも、たびたび話題になるストライク・ボールを巡る“疑惑の判定”。物議を醸す判定をなくすべく、MLBは「ロボット審判」の運用をマイナーリーグで開始しており、3Aでは昨季から全球場で実施された。

しかし、会見に臨んだマンフレッド・コミッショナーは「まだいくつか、システムの運用に関して技術的な問題が残っている。マイナーでは期待していたほどの進歩がなかった」と明かし、「来年の導入は見送る可能性が高まった」と述べた。

マイナーで使用中の「ロボット審判」は2つのパターンで運用されており、1つはすべての投球に対して、機械がストライク・ボールを自動的に判定するというもの。もう1つは、これまで通り球審が判定しつつ、ストライク・ボールに対しても両チームが「チャレンジ」する権限を有しており、ベンチから不服申し出があった時に「ロボット審判」を改めて使用し、結論を出すというもの。同コミッショナーは多くの関係者が「完全機械化」ではなく、この「チャレンジ制度」を支持していると話した。

■フレーミングが必要なくなる

そのほか、「完全機械化」となった場合、フレーミングという技術は不要になり、捕手に求められる能力も変わってくる。この点について、同コミッショナーは「つまり、守備よりも攻撃に長けた捕手の需要が高まることになる」と分析し、守備型捕手が受難の時を迎えるとした。その上で「ロボット審判を導入した場合、一部選手のキャリアが大きく変わってしまうため、慎重に検討する必要がある」と訴えた。

同コミッショナーによると「選手たちは、捕手のフレーミングは試合における芸術の一部だと捉えているようだ」と紹介し、「ロボット導入に関しては今後も慎重に議論を進めていく」とした。

メジャーで「ロボット審判」がお目見えするのは、早くても26年シーズンからになりそうだ。