サントリー食品インターナショナルは6月3日、国内清涼飲料事業として100%リサイクルペットボトルの累計販売本数が、2024年5月末時点で累計150億本を突破したと発表した。

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同社は、2012年に国内清涼飲料業界で初めて「ボトルtoボトル」水平リサイクル(使用済みペットボトルをリサイクルして新しいペットボトルに再生すること)による100%リサイクルペットボトルを「サントリー烏龍茶」2Lに導入して以来、さまざまな商品に積極的に導入してきた。2023年実績では、「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」600ml・680ml全数で使用するなど、すでに2本に1本以上が100%リサイクルペットボトルとなっているという。

「ボトルtoボトル」リサイクル ロゴ

サントリー食品は、累計150億本突破の背景について、「生活者の皆さまが日頃から、ペットボトルをごみではなく資源として扱い、ペットボトル・ラベル・キャップをきれいに分別して回収にご協力いただいていることが大きな要因と考えている。その結果、リサイクルペットボトルを導入しなかった場合と比較して化石由来原料の新規使用量を30万トン超削減することができた」としている。

実際、日本におけるペットボトルリサイクルの現状は他国とは大きく異なる。日本では、ペットボトルの回収スキームが整っていることもあり、ペットボトルの回収率・リサイクル率は約9割と、欧米諸国と比較して非常に高い水準となっている(PETボトルリサイクル推進協議会調べ)。これは、日本のリサイクル率が2022年度に86.9%であるのに対し、欧州リサイクル率(2021年度)が42.7%、米国リサイクル率(2020年度)18.0%にとどまっている。

また、清涼飲料業界では、リサイクルのなかでも、限りある資源を国内で有効利用できる「ボトルtoボトル」水平リサイクルを推進している。業界として、2030年に「ボトルtoボトル」水平リサイクル比率5割を目標としており、現状では約3割まで高まっている状況だ(PETボトルリサイクル推進協議会調べ)。

「ボトルtoボトル」水平リサイクルは、新たな化石由来原料を使用してペットボトルを製造する場合と比較して、CO2排出量を約60%削減することができることからも、飲料業界では取り組みを継続強化する考え。

「ボトルtoボトル」リサイクル

今後について、サントリー食品は、「ボトルtoボトル」水平リサイクル推進の課題は家庭の外にあるとする。それは、使用済みペットボトルの回収において、家庭ではきれいに分別されている一方で、家庭の外では分別が十分に進んでいないという課題があるためだ。また、飲み残しや異物が入っているペットボトルは、新しいペットボトルに生まれ変わることが難しいという事実は十分に知られていないという。

同社は、ペットボトルの分別啓発コミュニケーションに注力しており、飲み終えた後から始まるテレビCM・WEB動画の制作や、小中学校・商業施設での出張授業などの取り組みを行ってきた。同社は、「今後も、ご家庭できれいに分別していただいているのと同様にご家庭の外でも分別いただけるように、“外出先での分別”に注力したコミュニケーション活動を強化する」としている。

サントリーグループは、2019年策定の「プラスチック基本方針」で掲げた“2030年までにグローバルで使用するすべてのペットボトルに、リサイクル素材あるいは植物由来素材等を使用することで、化石由来原料の新規使用をゼロにする”という「ペットボトルの100%サステナブル化」の目標達成と持続可能な社会の実現に向け、引き続き活動を推進するとしている。